こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第1週目は、バイオインダストリー協会先端技術・開発部
の大島一史部長にお願いすることにいたしました。大島さんは三井化学のご出身
で、日本バイオプラスチック協会の前身である生分解性プラスチック研究会(BPS)
の事務局長を経て、2005年からバイオインダストリー協会に在籍されています。毎
月第1木曜日のこのメールでは、バイオプラスチックに関わる動向の解説や、普及
に向けた提言などをいただきたいと思います。
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
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        農業/環境分野のバイオテクノロジー記事
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Monsanto社、竜巻被害を受けた農家を支援するプログラムに2万ドルを寄付
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DuPont社、中国上海にデュポン自動車センターを開設
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中国での先進バイオ燃料生産が進展、Novozymes社が酵素供給
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8714/
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◆バイオプラスチック革命◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「バイオプラスチックの温室効果ガスに関する取り扱いについて」
                  バイオインダストリー協会・大島一史部長
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 はからずもこの度バイオプラスチック(BP)に関わるトピックスなどを月に一度
ご報告する大役を拝命致しました。読者諸兄姉と編集部のご期待に沿えるかどう
か不明ですが、小職が所属する(一財)バイオインダストリー協会の立場から眺め
た “ありのままのBP” をお伝えできればと存じております。
 今回はその最初となりますので、小職にとって2010年度最大と考えるBPのト
ピックスをご紹介致します。
 実用展開しているBP(その定義についてはいずれ論点整理してご報告)は一
般に海外依存度が高く、その国内での活用には高い “戦略性” が必要と思われ
てきました。すなわちBPの特質は、二酸化炭素を固定化した資材であり、従って
「カーボン・オフセットの特性をどこが受けるのか」(バイオマスの栽培事業者なの
か、樹脂製造事業者なのか、コンパウンド化事業者なのか、成形加工業者なの
か、それとも成型品を導入する事業者なのか、はたまた最終処分者なのか)、さ
らに国境を越えた場合の取扱いなどに不明な要素が多分にあったわけですが、
2011年1月に大きな動きがありました。
 京都議定書締約国である我が国は、第一約束期間(2008年から2012年)の温
室効果ガス(GHG)排出について約59億2800万t(これ以上排出を超えないと約束
した量)が割当てられており、2010年より毎年5月に国連条約事務局に、我が国に
おけるGHG排出総量を報告(NIR:National Inventory Report)することが義務付け
られております。
 我が国のNIRについては、環境省地球環境局総務課低炭素社会推進室を作成
責任機関とし、インベントリ作成作業機関である国立環境研究所・地球環境研究
センター・温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)が基本データを作成し、“温室
効果ガス排出量算定方法検討会”(座長:大聖早稲田大学大学院環境・エネルギ
ー研究科教授)の承認を経て外務省経由で報告する体制となっております。
 同検討会は6分科会(森林等吸収源分科会、農業分科会、HFC等3ガス分科会、
エネルギー・工業プロセス分科会、廃棄物分科会、運輸分科会)と1WG(インベン
トリWG)から構成されいます。この中の廃棄物分科会(会長:酒井京都大学環境
保全センター教授)の平成20年度来の持ち越し検討課題として、プラスチック起源
GHG排出量に関連して、「焼却されるプラスチック中に含まれるバイオマスプラス
チックの量が活動量に含まれているため、実態よりも化石燃料起源CO2排出量を
過大に算定している可能性」が指摘されており、「現行の京都議定書目標達成計画
では、バイオマスプラスチックの利用促進が地球温暖化対策として掲げられており、
対策の進捗状況のフォローアップのため、本課題を解決することが必要」 とされてい
たところ(*1)、日本バイオマス製品推進協議会(*2)によってなされた我が国の
BP市場の構成と規模調査結果(2009年11月時点(*2))の質・客観性・透明性が
認められ、2010年度の検討項目に加えられることとなりました。
 2011年5月までに提出予定とされている2009年度分インベントリについては、一
般および産業廃棄物の焼却に伴うCO2排出量に対して、BPから発生するバイオマ
ス由来CO2を控除(オフセット)することが正式に承認されました(2010年度温室効
果ガス排出量算定検討会第1回:2011年1月25日開催)。
 具体的には上記日本バイオマス製品推進協議会の調査結果から、製品寿命が
短い食品容器包装資材に使用されているポリ乳酸製品の国内使用量を集約して
CO2オフセット値を算出し、2009年のプラスチック起源CO2排出量を修正(△3.2Gg-
CO2=3200t-CO2;G=“ギガ”)することになりました。まだまだわずかな量ですが、
BPについては原料バイオマスの “国籍”いかんに関わらずにバイオマス由来分の
二酸化炭素排出量については排出国でオフセットされることになり、冒頭に示した
「どこが受けるのか」という課題の一部に解決の見通しが得られる見込みとなった
わけです。
 今後はBP市場のさらなる詳細な、かつ継続的な調査が必要であり、また樹脂
製造者/コンパウンド化/成形加工/使用者/最終処分者間での“恩恵の取り分”の
設計が具体的な課題となるでしょうが、これに関連しては環境省地球環境局地球
温暖化対策課が“サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量算定方法検討会”
(座長:森口国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター長)の検討結果に
期待しています。
 (*1)「  」内は、委員会配付資料をそのまま引用。
 (*2)別の機会に本欄でご紹介の予定。