こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第4週目は、北海道で技術戦略マネジメント・オフィスというコンサルティング業を運営しておられる飛谷篤実さんにお願いすることにしました。飛谷さんは、現在札幌を拠点に、食品やバイオテクのイノベーションに関わるコンサルティングを行っています。元々は食品メーカーで研究開発や戦略企画などに関わり、その後、バイオベンチャーやベンチャーキャピタルを経て、2010年に独立開業されました。オープン・イノベーションの導入支援や事業計画の策定支援が目下の最重要テーマということで、毎月第4木曜日に、北海道発のグリーンイノベーションの話題を提供いただく予定です。
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◆北海道発◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「北海道はグリーンイノベーションのホットスポット」
        技術戦略マネジメント・オフィス 飛谷篤実
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 つい先日、北海道のグリーンイノベーションの現状について書いてみて、とのご指示を橋本編集長からいただきました。地方の活動は全国版のメディアにはなかなか載りにくい傾向にありますし、それが規模の小さな企業やプロジェクトだとなおさらです。
 実は近年、北海道ではグリーンイノベーションに関する取り組みが盛んに行われています。技術シーズおよび開発手法の多様性、システムの構築方法などに興味深いものが幾つもあり、いわば「グリーンイノベーションのホットスポット」とでも呼ぶべき状況を呈しています。
 そこでグリーンイノベーションに関連した小粒でもピリリと辛い話題を北海道からお届けしたいと思います。今回はまずイントロダクションとして、北海道のグリーンイノベーションを取り巻く環境をご紹介いたします。
 さて、メールマガジンの読者の方々にとって、北海道は昔から農林水産業や食品加工業が盛んというイメージが強いのではないでしょうか。北海道の平成22年度の統計によると、耕地面積ベースでは全国の約4分の1、農業産出額では全国の約12%を占めます(北海道農政部)。例えば麦類が50%、豆類が40%、イモ類が30%、乳用牛が47%となっており(いずれも金額ベース)、他にも多くの品目で全国では上位にあります。
 一方、海岸線の距離ベースでは13%(北方領土を除くと9%)となる北海道は、漁業・養殖業の生産額では全国の19%に達します。主要業種であるホタテガイ、スケトウダラ、ホッケ、サケ、サンマ、コンブなどは全国1位です(北海道水産林務部)。
 さらに林業ですが、土地面積の71%が森林に覆われた北海道の森林面積は、全国の森林面積の22%に当たります。トドマツやエゾマツなどの針葉樹と、ミズナラやカンバ、イタヤ、ブナなどの広葉樹から構成される天然林があり、またトドマツやカラマツ、スギなどの植林による人工林もあります。これらは住宅資材や紙原料として使われるだけではなく、国土保全や水資源の涵養、二酸化炭素の吸収貯蔵、生態系維持などのために役立っているとのことです(北海道水産林務部)。
 食料や木材の供給基地としての役割に加え、北海道は近年、医薬品や健康食品分野の研究開発型ベンチャーが生まれている地域としても知られようになっています。北海道大学をはじめとする地元の大学におけるバイオ研究の成果を実用化するために、2000年初頭から次々とベンチャーが立ち上げられました。それらの中で、ジーンテクノサイエンスやイーベックなどの創薬ベンチャーが、国内外の製薬企業への大型の技術導出に成功したことは話題になりました。創薬支援や解析ツール、機能性素材開発などの分野でも最先端の技術を用いて、ビジネスを行っているベンチャーが幾つもあります。
 北海道には首都圏や関西圏のような製薬企業が軒を連ねる地区はありませんが、大学や公的研究機関などを基点として、医薬品およびバイオテクノロジーのクラスターが形成されています。そしてそのクラスターが、国内外へと新たなビジネスを展開しています。以前に日経バイオテクが発表していた全国バイオクラスターランキングでは、北海道は2位あるいは3位に位置していました。当時は期待先行で過大評価という感も受けましたが、今はそのランキング相応の実績を出していると言えるかもしれません。
 そして、このような地域において、グリーンイノベーションはどうなっているかという話になります。ここまで北海道の産業を俯瞰してきましたが、それらの強みを活かすようなグリーンイノベーションが進展していることを紹介するのが本連載の趣旨です。
 次回以降で取り上げる例としては、北海道東部の帯広市に拠点を置く、エコERCというベンチャーがあります。この会社は、地域で委託栽培したアブラナから搾油し、食用油として販売します。それを家庭で使用した後に回収し、精製・加工によりバイオディーゼル燃料を得て、さらに回収車や農業機械に用いるという循環型のビジネスを推進しています。販売と回収については生活協同組合と連携し、循環サイクルの強化を図っています。
 同じ循環型でも木質系バイオマスの活用を図っている事例として、北海道北部の下川町が挙げられます。林業が盛んな同町では、間伐材や木屑をバイオエタノールやペレットなどの燃料に変換し、それを町内の公共施設やハウス栽培の熱源として利用します。数年前からバイオマスタウンと銘打って、町ぐるみの実証化実験に取り組んでいます。どちらのケースも技術開発に偏るのではなく、社会システムとして有効か否か、あるいはビジネスとして持続的な成長が期待できるかなどをしっかりと検証している点が重要です。
 他に取り上げたいのは、北海道南部で海洋資源の保護と高度活用を目指す函館マリンバイオクラスター、そして産業総合研究所の北海道センターが構築した完全密閉型植物工場システムなどです。これらもグリーンイノベーションの試みとしては非常にユニークで、かつ北海道ならではの取り組みとなっています。現在進行中のプロジェクトですが、グリーンイノベーションを実現する上で参考になる点が多くありますので、本メールマガジンでしっかりとご紹介させていただきます。ぜひこの機会に、北海道はグリーンイノベーションのホットスポットであることを知っていただきたいと思います。