昨日と今日の2日間、東京ビッグサイトで、産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオマスエネルギー関連事業成果報告会」が開催されました。
 昨日は「燃料化とリファイナリー」を中心にオーラル17本とポスター22本。本日は「発電と熱利用」を中心にオーラル18本の発表がありました。NEDOが手がけるバイオマス関連委託事業の幅広さに驚かされます。やはり注目度も高いです。2日目はやや少なくなりましたが、昨日は6階の一番大きな会議室が満席でした。
 内容も、非常に興味深いものでした。報告のうち何本かについて、日経バイオテクオンラインに詳細をアップしますのでご期待を。ここでは、セルロース系バイオエタノール製造に関連して印象に残った点を1つご紹介します。
 何度かこのメルマガでも紹介しましたが、現在NEDOは、「エタノール一貫生産システムの開発」に関して、2つの国プロを走らせています。同じテーマに向かって、2つのグループが、それぞれの力を結集して研究開発を実施しているわけです。1つはJX日鉱日石エネルギーを中心とするグループ、もう1つは王子製紙を中心とするグループです。
 これも以前このメルマガでご紹介しましたが、セルロース系バイオエタノールの製造コストの中で、大きなウエートを占めるのがセルロース糖化酵素の購入費用です。
 そのため、「バイオエタノールの製造コスト低減のためには、セルロース糖化酵素をリサイクルすることが不可欠」と睨んで王子製紙は技術の確立に乗り出しています。これについても、このメルマガでご紹介したことがあります。アルコール画分を取り出した後、残渣に含まれる糖化酵素を、糖化発酵槽に戻す仕組みを検討している、
という内容でした。
 それではもう一方のグループはどうか。これまで情報がなかったのですが、今回の報告会で、JX日鉱日石エネルギーグループもやはり酵素のリサイクルに取り組んでいることがわかりました。グループの一員である東レの膜ろ過技術を使い、糖化が終わった直後に酵素を回収して糖化発酵槽に戻す仕組みを検討しているとのことです。
 市販のセルロース糖化酵素は、実は熱などのダメージを受けにくい、比較的「強い酵素」なのだそうです。ただし基質に吸着しやすく回収が難しいという課題があります。この課題をどうクリアして回収率を高めるかが、技術開発のポイントになっているようです。
 実は、NEDOのバイオマスエネルギー関連事業の中には、日本独自のセルロース糖化酵素を開発しようという事業研究テーマも含まれています。遺伝子組み換え技術を用いてTrichoderma reeseiという微生物が生産する酵素群のヘミセルロース分解能を高めるなどして、大手酵素メーカーと同等以上のものを、低コストで生産できる技術の確立を目指しています。
 大手酵素メーカーは、当然、酵素のリサイクルはしてほしくないはずです。そのジレンマに縛られて「リサイクル特性の向上」に開発方針の舵を切れないようならば、日本独自の酵素開発が、大きなアドバンテージになる可能性もあります。
  日経バイオテク副編集長 小田修司
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
※※過去のメールはブログでご覧になれます。コメントもお寄せください。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/green/
※※日経バイオテク編集部のミニブログTwitter(ツイッター)アカウント。
http://twitter.com/nikkeibiotech 
◆「BTJ」の関連記事◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        農業/環境分野のバイオテクノロジー記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
コスモ石油、バイオガソリンの原料「バイオETBE」の製造設備が完成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6954/
木質チップで発電する川崎バイオマス発電所が稼働、発電規模は国内最大級の3万3000kW
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6919/
Medicago社、鳥インフルエンザパンデミックワクチンのフェーズII臨床試験の中間結果を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6920/
訂正、バイオエナジーがバイオガスから都市ガスを生産して導管に直接注入、東京ガスが受け入れ・買い取り
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6909/
日本、「口蹄疫清浄ステータス」を回復
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6897/
花王、オーストラリアで環境対応型の液体洗剤を発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6753/