新年明けましておめでとうございます。
 昨年末の続きになりますが、バイオプラスチック特集に盛り込めなかったニュースをアップしました。花王と日本電気(NEC)の話題です。
 花王のポリ乳酸系バイオプラスチックの商品名は「ECOLA」といいます。人気商品だった同社の食油に似ていますが、それとは特に関係なく、ECO+PLA(Plastics)が由来のようです。同社は石油由来のプラスチックの分野でも、改質用の添加剤を供給する主要な会社の1つです。蓄積した技術を生かして、バイオプラスチックの改良を手掛けたわけです。
 最大の特徴は、「金型温度80℃で30秒成形」に対応させたことです。ポリ乳酸は通常、金型温度120℃で600秒程度の成形時間が必要ですが、これだと大量生産が難しいという課外がありました。パソコンの筐体などに使われる、プラスチック(ABS+ポリカーボネート)と同じ「金型温度80℃で30秒成形」が達成できたことで、製造面に関しては、バイオプラスチックを“普通のプラスチック”にできたのです。
 2010年初めにそのECOLAを、パソコンの筐体の一部として採用したのが、日本電気です。具体的な数字は教えていただけませんでしたが、「エコなパソコンということで、大学で一括購入してもらった事例もある」とのことでした。パソコンは、性能面ではメーカーの独自性が出せなくなってきているので、バイオプラスチックの採用による差別化が有効な場合があるのは確かなようです。
 正確に言うと、日本電気が採用したのは、ECOLAに独自の難燃化技術を加えた「Nucycle(ニューサイクル)」というECOLAの派生素材です。さらに日本電気は、これとは別に、セルロースとカシューナッツ成分を原料とする「カルダノール付加酢酸セルロース」バイオプラスチックも開発しています。2013年度末までに量産化技術の確立を目指すとしています。
 カルダノール付加酢酸セルロースの特徴は、セルロースをそのままポリマーとして使っていることだと思います。ポリ乳酸系にしろ、バイオPETにしろ、今年から登場するバイオポリエチレンにしろ、一部(セルロイドなど)を除くとバイオプラスチックの多くはまず発酵でモノマーを作り、それを重合させてポリマーを作っています。
 しかしセルロースを原材料とする場合、よくよく考えれば、これはエネルギー的には非効率なことです。もともとセルロースはポリマーなわけですから、ポリマーのまま使えるならそれにこしたことはないからです。カルダノール付加酢酸セルロースは、その点に目を付けたもので、より効率的で、“エコ”な生産方法をめざしたバイオプラスチックといえるかもしれません。
 
 日本電気が、このようにバイオプラスチック研究に力を入れているのは、以前にもちょっとご紹介しましたが、同社は環境中間計画で「2017年に、使用可能なすべての主要製品にバイオプラスチックを採用することを目指す」という目標を掲げているからです。
 トヨタ自動車も2003年策定の「リサイクルビジョン」で2015年に樹脂部品の20%をリサイクル材+バイオプラスチックに置き換える技術の確立を目指すとして、実際に、バイオプラスチックの積極採用を進めています。これも、以前に紹介しました。
 昨年末に開催された展示会エコプロダクツ2010の盛況(やや、子供たちの社会見学?、遊園地?的な感じもありましたが…)を見ても、企業も消費者も、基本的にはエコに意識・行動が向かっているのは間違いないようです。
               日経バイオテク副編集長 小田修司
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