バイオプラスチック特集を掲載した日経バイオテクが発行になりました。前回も書きましたが、バイオプラスチックの素材側の話題はあまり盛り込めませんでした。特集から漏れた話題については、順次、オンラインにアップしています。「取材を受けたのに、どこにも記載がないじゃないか」とお思いの方、しばしお待ちください。
 今回、素材メーカーにお話を伺って認識を新たにしたのは、日本のバイオプラスチック市場の変遷と、日米欧の現在の市場の様子がかなり違っているということです。バイオプラスチックが登場した当初、日本では「生分解性」の特徴こそが、その象徴だったわけです。しかし2005年ごろを境に、「生分解性」からCO2の排出削減や石油資源代替を満足する「植物度」へと、バイオプラスチックに求められる特徴が大きくシフトしていきました。
 生分解性と耐久性は相反する性質なので、生分解性を追い求める限り、耐久消費財にバイオプラスチックの使用が広がらないというジレンマがありました。生分解性という足かせが外れたことで、生分解性ではない素材と混合して耐衝撃性、難燃性、成形サイクルの早さなどを達成する方法が取れるようになり、実際にさまざまな用途に使えるバイオプラスチックが開発されてきたわけです。その一方で、現在の日本では、バイオプラスチックの生分解性という特徴が取り上げられることが少なくなっていると思います。
 しかしこれは、世界共通の事情というわけではありません。特に欧州では家庭ごみ削減の観点から、現在でも、バイオプラスチックの生分解性が重要視されています。そのような欧州のマーケット需要にマッチする素材開発が、実は日本では脈々と続けられ、現在、ようやく花開こうとしています。
 例えばカネカが開発したPHBHという生分解性のバイオプラスチック素材は、添加剤を加えなくてもポリエチレンのように柔らかく、嫌気条件でも低温で分解する、というほかのバイオプラスチックにはない特徴を持っています。この特徴は、欧州の家庭で普及しているコンポストでのゴミ処理を前提にすると、生ゴミを入れるゴミ袋の素材としてとても適しています。ゴミ袋も生ゴミとともに、コンポスト内で分解されるからです。
 また、東洋紡が開発し、現在、接着剤用樹脂として売り込みの努力を続けている非晶性ポリ乳酸素材「バイロエコール」も、欧州市場にマッチした商品といえそうです。欧州では、スナックの袋も生分解性のことが多いようです。その素材には、表面と裏面にそれぞれ機能を持たせるため、2枚のフィルムをを張り合わせて1枚にしたものが、一般的に用いられているようです。
 張り合わせるためには接着剤が必要です。生分解性の接着剤が商品化されていないというニーズを、同社はこの「バイロエコール」で捉えつつあります。
 米国マーケットはどちらかというと「CO2排出削減」「石油代替資源」重視ですが、大手食品会社がスナック菓子のパッケージに生分解性プラスチックを採用したという話も。日本市場ほど一辺倒ではないようです。この市場を狙う日本の企業も、当然、あるようです。2011年は世界のバイオプラスチック市場に、それぞれ転機が訪れそうです。楽しみですね。
 2010年のBTJ/GreenInnovationメールの配信は本日で最後となります。1年間、お読みいただきありがとうございました。2011年もよろしくお願いします。
  日経バイオテク副編集長 小田修司
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