米環境保護局が2007年以降のモデルの自動車に対して、エタノール15%を含むガソリン(E15)の使用を許可しました。ちょっと前のことですが、2010年10月13日にリリースが出されています。
 米国では1979年に、エタノールを10%まで含むガソリンの使用が許可されていました。今回の規制緩和が、同国でのエタノール消費量をさらにアップさせる素地となるのは間違いないと思います。2001年から2006年モデルの自動車についても、年内にE15が解禁される可能性があります。そうすると、さらに波及効果は大きくなりますね。
 日本では来年中ごろに、E10の基準がようやく出てくるはずです。自動車会社は、E10はもとより、E15を使用するための技術対応をすでに完了しているわけで、これを機にせめてE10ガソリンが本格普及してもよいようなものですが、実際にはそうはなりそうにありません。
 そもそもエタノールの、ガソリンへの混合方法がまだ一本化できていないという根本的な問題があります。石油元売会社の業界団体「石油連盟」の主導で、ガソリンへのバイオエタノール添加が進められていますが、これはエタノールとイソブテンを反応させてETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)にして添加する方式によるものです。
 E3、E10といったエタノールの直接混合について、石油連盟は、環境への影響や品質維持などを理由に採用しない立場です。どうにも、直接混合を推進する立場の環境省とは相容れません。
 この問題を根本的に解決しないと、日本で、バイオエタノール燃料が本格的に普及することはないと思います。
 CO2排出抑制の視点からは、普及の滞りは困るわけです。もっとも産業振興とか安全保障の観点からは、燃料がガソリンからエタノールに切り替わっても、輸入元がサウジアラビアからブラジルに変わるにすぎません。そこがいまひとつ、バイオエタノール普及に向けて、産官から「本気」が見えてこない理由なのではなかろうか、とも思います。
 海外生産であってもいいから、世界競争力のある日本のバイオエタノール生産会社が、できれば従来の石油元売会社以外で複数社出てくれば、状況は変わってくるのでは。日本にバイオエタノールの大市場を作ろうという機運も出てくると思います。
読者の皆様はどう思われますか。
          日経バイオテク副編集長 小田修司
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