関連のニュースが出てくるはずと網(ヤマ?)を張って待っている話題を、大概、記者はいくつか持っています。私にとって、11月5日に発表された「レアメタルを微生物で回収する技術」は、まさにそんな話題でした。きた!という感じです。
 人間を含む動物、植物などは酸素呼吸をしますが、微生物の中には金属を仲介してエネルギーを生み出すものがいます。有名なのは鉄呼吸細菌ですけれど、原理的には同じなので、レアメタルで呼吸する細菌がいてもおかしくはありません。微生物をスクリーニングした大阪府立大の小西康裕教授はそこに目を付けられたのだと思います。
 このレアメタル呼吸細菌をカプセルに封入したところが、今回発表された技術のキモです。呼吸のために微生物がカプセルの外から取り込んだレアメタルが、カプセルの中に留まるように工夫したわけです。カプセルの技術は、小西教授と共同で特許を出願した森下仁丹が開発したものです。
 低濃度のレアメタルを含む水溶液に、この「微生物カプセル」を沈めておきます。カプセルの直径は1mmから1cmですから、後で回収するのは簡単です。引き上げたカプセルの中には、レアメタルが効率的に蓄積されています。
 すぐに実用化できる技術ではないと思います。呼吸の効率を悪くする(エネルギー生産のためにたくさんのレアメタルを必要とする)ように微生物を改変するとか、課題はたくさんあるでしょう。でもコンセプトはすごく面白いです。食品に関連しないので、組み換え技術の利用も、比較的、社会に容認されやすいかもしれません。府立大に取材ができたら、改めてバイオテクオンラインでご紹介したいと思います。
 さて、日経バイオテク11月8日号が発刊されました。このメールで9月末に触れた、Genencor社から来日された方のインタビューが掲載されています。ぜひご覧ください。昨日、バイオテクオンラインにもアップされたようです。
 セルロース系バイオマスの糖化酵素に関連して、「オンサイトプロダクション」というコンセプトを酵素メーカー大手が打ち出してきたことに注目です。バイオエタノールのプラントに、酵素の製造工場を併設してしまおうという考え方です。
 両プラントで水、蒸気、電力などの設備が共有でき、酵素の輸送費が軽減されるため、結果的に酵素が安く提供できるようになるとのこと。ごみ処理場や食品工場にバイオエタノールの生産プラントを併設することにも、共通する考え方ですね。安くなったといっても、製造コストの中で酵素の調達費が占める割合はまだまだ大きいので、今後もいろいろな技術開発やコンセプトが出てくると思います。
    日経バイオテク副編集長 小田修司
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日経バイオテク11月8日号「キーパーソンインタビュー」、Genencor社 バイオマス事業部門長 Colin Mitchinson氏に聞く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4976/
 
森下仁丹と大阪府立大、微生物封入カプセルでレアメタルを回収する技術を開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4855/
バイオポリエチレンの試験生産がスタート、2011年・20万t供給に変更なし
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4766/
 
「生物多様性民間参画パートナーシップ」が発足、経団連などが呼び掛け
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/4568/