こんにちは。先週、Novozymes社の酵素を配合した、洗濯用の板石鹸の販売が中国で好調とのリリースが出されました。昔、私が子供の頃にはまだ洗濯石鹸と洗濯板が家にありましたが、手で洗濯するのはたいへんです。汚れ落ちがよくなり、すすぎの水が少なくなるならいい商品のように思います。
 コロンブスの卵のようですが、発想だけではないでしょう。使う分だけをすくって洗濯機に入れる粉末石鹸と違い、毎回、全体が水に濡れる板石鹸は酵素活性を長期間持続させるのは難しいはずです。Novozymes社は酵素の安定性を高めることで、板石鹸への配合を可能にしたとのことですが、どんな技術でこの課題をクリアしたのか、ぜひお聞きしてみたいです。
 実は今日、BioJapan2010の「グリーンイノベーションサミット」にNovozymes社の代表取締役がいらっしゃいます。いいチャンスだったんですが、インタビューの時間をとっていただけなかったので残念。
 ちなみに同じミーティングに参加されるGenencor社のバイオマス事業部長コリン・ミッチソンさんにはインタビューの時間をいただけました。ですので、その内容はあらためて日経バイオテクの読者の皆様にご紹介します。Genencor社も対抗商品を出すのでしょうか?
 現在、酵素分野でもっとも動きが大きいのは、第2世代バイオエタノールを製造するための低価格・高性能セルラーゼの開発でしょう。Novozymes社とGenencor社がワールドワイドのツートップです。
 正直なところ日本の酵素会社を含む中小規模のメーカーが、世界大手2社に今から太刀打ちするのは難しそうです。ただ、完全にこの2社にバイオエタノール製造のキモとなる酵素供給が牛耳られたのかというと、まだ、そうとも限りません。
 セルロース系バイオエタノール製造を検討している技術者の中に、「アルコール製造のコスト高の大きな要因は酵素の価格に起因している」と考えている人は多いです。現在のところ、糖化反応はバッチで行われているので、反応ごとに酵素が必要です。
 そこで、製造コスト低減を図るため、使用する酵素を自分たちで内製することが検討され始めています。バイオエタノールの製造プラントには、酵素を製造する設備もセットで設置してしまおうということです。
 もちろん世界のツートップに匹敵する酵素が作れるのか、という疑問はあるわけですが、技術者の方々に話を聞いてみると、セルロース系バイオエタノールの製造においてはバイオマスの種類・性質が多様なので、「あるバイオマスの糖化」に特化した用途なら、オーダーメイドの酵素に「勝機はある」ということのようです。
 バイオエタノールの製造業者が皆、自分たちで酵素を作り始めると酵素メーカーは困ります。さて、酵素専業メーカーはどう対応するのでしょう。その当たりもミッチソンさんに聞いてみたいと思います。
                   日経バイオテク副編集長 小田修司
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