国土が大きくない日本では、資源作物などを栽培できる量に限りがあります。ですから国際的な競争力を持つ安価なバイオ燃料を製造するためには、拠点を海外におかざるを得ない。しかし一方で、日本国内で行うことが必要なバイオ燃料生産もあるはずで、それはたとえば、廃棄物や未利用資源からバイオ燃料をつくることではないか――。この考えは以前、このメールでお伝えしたことがありました。
 現在もこの考えは変わっていないのですが、気になるお話を先週お聞きました。既にニュースをアップしたので、読んでいただいた方もいらっしゃると思います。大阪府堺市にある「バイオエタノール・ジャパン・関西」が、製造プロセスの調整が必要のためにいったんプラントをとめることにしたという件です。
 バイオエタノール・ジャパン・関西の事業モデルは、木造家屋を解体した際に廃棄物として出てくる廃木材を逆有償で引き取って、それをバイオマスにしてアルコールを造るというものです。廃木材のうち、質のよいものだけを発酵にまわし、質の悪いものはプラント内のボイラー燃料にしてスチームや電力を得ることにしていました。
 バイオマスを得る際にお金がもらえ、さらにプラントの稼動費の低減にもつながるという、よく考えられた仕組みです。まさに、「廃棄物からバイオエタノール」の先端を行くモデルだったわけです。
 誤算は、廃木材が集まりにくくなったことです。計画が立案されプラントが稼動し始めた当初は、廃木材は豊富だった。きれいな廃木材のみを選んでバイオエタノールの原料にできたわけです。ところが電力会社に、一定割合の再生可能エネルギーの生産あるいは購入を義務つける法律が施行されたことなどが原因で、廃木材の価値が上がってしまいました。
 廃木材が電力会社で燃料として使われるのは決して悪いことではないですが、バイオエタノール・ジャパン・関西のようなベンチャー企業にとっては、当初のビジネスモデルの転換を迫られることになり大変です。
 「廃棄物からバイオエタノール」モデルの難しさだと思います。うまくいけばバイオマスが安く(あるいは逆有償)で手に入る一方、集まる量が不安定だったり、急に集まらなくなるリスクもあるということです。
 リスクを事業開始前に徹底的に考え抜き、可能な限りヘッジしておくことが必要なのですね。また、「循環型社会の推進」という国の施策トレンドに乗った新しい技術が開発され、ベンチャーが起業し、利益が出せるように下支えする仕組み作りも必要かもしれません。
                     日経バイオテク副編集長 小田修司
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