今週は産業技術総合研究所(産総研)酵素開発研究グループの宮崎健太郎グループ長の研究が注目されました。それは「メタゲノム」という研究分野で、これまでは環境中の微生物の網羅的なDNA解析に利用されてきました。宮崎グループ長は取得した遺伝情報を利用して新酵素を作ってしまおうという点が画期的です。
 メタゲノムの手法は、シロアリの腸内細菌やバイオフィルムなど、複数の微生物が大量に存在する時に適用されてきました。環境中の微生物は9割以上が培養できず、それゆえにDNA解析も難しい。その壁を乗り越えるために、微生物を単離せずに、微生物の群をまるごと利用して核酸抽出の操作を行います。そうすることで、未知の遺伝子が発見できると期待されることになります。
 宮崎グループ長の面白いところは、見いだした遺伝子に基づいてたんぱく質発現もさせてしまうところです。そこから、高機能の酵素が見つかったことを記事でお伝えしました。
 見逃せないのは、やはり未知の遺伝子を発現させることのリスク管理でしょう。非常に興味深い手法であり、関心を持つ企業も多いようです。病原菌から遺伝情報を取り出して大量発現させる可能性もあり、外部への拡散を防ぐ体制整備は重要です。専門家の間で議論は十分ではないようです。技術を支えるインフラ部分での詰めの甘さは禁物でしょう。
                         バイオ部記者 星 良孝
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