4月21日、スイスSyngenta社の新しいトウモロコシ系統が米国の承認を受けました。これまで米環境保護局(EPA)、米食品医薬品局(FDA)の審査を通過していましたが、最後の関門だった米農務省(USDA)の審査も通りました。トウモロコシの生産性を高める“武器”が一つ増えたことを意味し、遺伝子組み換えの普及がさらに加速することになりそうです。
 米国の遺伝子組み換え作物のパンフレットを見ますと、そのバリエーションに驚かされます。「CB/LL/RW」といった表記がありまして、これは遺伝子組み換えのパターンを示しています。CBですと、コーンボーラーという害虫に強い。LLだと、グリホサート系の農薬耐性を持っている。RWだと、ルートワームに強い。要するに、地上に出ている部分も、根っこも遺伝子組み換えによって害虫に強くなっており、しかも雑草だけに効果を示す農薬で効果的に除草することができるといった具合です。栽培者にとって見れば、トウモロコシを育てるのに、余計な農薬を使用する必要がなくなり、生産性も高くなるわけですから、願ったりかなったりといったところでしょう。
 このたびSyngenta社が出してきたのは、CB、LL、RWといった特性と一線を画する新しい有用遺伝子です。これを承認に持ち込んだわけで、米国での遺伝子組み換え作物の生産性をさらに高めることにつながり、栽培者に広く受け入れられることが確実視されます。
 遺伝子組み換えを忌避する動きは日本では根強いようですが、日米の認識の差から 学ぶところは多いでしょう。生物多様性の観点からは、強力な植物で生態系を画一化 していく動きをどう見るか難しいところです。が、人口増加、経済発展を踏まえると、地球丸をうまく回すには必要だろうと、やはり思われます。
                         バイオ部記者 星 良孝
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