研究開発の世界に限らないでしょうが、1人では大勝負に勝つことはできません。上司と部下、同僚、友人、所属する組織を超えた関係、国境を越えた関係など、周囲の力を集めて、自分の力に変えていく。それができる人が最終的に勝てるのだと思います。
 09年末に小欄で日本の歩むべき道について考察しました。日本の強みを見極めて、目標を共有して異分野連携を促し、地域の力を引き出すとお書きしたのですが、突き詰めれば心通う仲間を増やすということかもしれません。足元で日本に突き付けられているのは、国際競争という大勝負です。ここで勝つためには何としても協力できる仲間を増やすしかありません。
 バイオリファイナリーという分野もそうでしょう。取材していると、お話を伺う方々の多くが悩んでいます。バイオリファイナリーで生み出した製品は量がはける製品に育ってくれるのか、コストをうまく抑制して利益は出てくるのか、結果として産業として成立し、雇用を生み出すことができるのか。そもそも研究開発の筋として誤った方向なのではないかと。しかし、環境対策の要請が確実に高まり、資源制約が強まる一方である中で、バイオリファイナリーの需要が高まることは確実なのでしょう。あまりにも高い壁と感じるからこそ、一層、仲間との協働が欠かせないと考えるべきなのでしょう。
 さあ、ではどう協力するか。世の書店、アマゾンドットコムでもよいですし、インターネットでもよいですが、組織をまとめていく方法についていろいろな情報が氾濫しています。いわば「虎の巻」とでも言いましょうか。しかし、私はそこに王道はないのだろうと感じています。やはり真摯に相手に向き合っていくしかないのではないかと感じるのです。日本語でそれを意味する言葉を探せば、「まごころ」という言葉がしっくり来るように思います。
 大切なのは、目標と、やるべきことをはっきりさせることです。相手に目的を納得してもらうことです。私の尊敬する経営者であるユニ・チャームペットケアの二神軍平社長は「穴掘りから井戸掘り」とおっしゃっていました。
 やや長くなりますが、二神社長の言葉をご紹介させていただきます。「目的を納得すれば行動に意欲が沸きます。『穴を掘れ!』と言っても、単なる穴掘りは労働ですが、『井戸を掘れ!』は意欲です。喉が渇いた時の「穴掘り」は苦痛ですが、喉が渇いたときの『井戸掘り』は意欲です。目的や目標の意味を全員で共有する事によって、行動の意味が変わってきます。強い発信力でコミュニケーションが出来れば風土が変わり、同じ穴を掘るという行為でも、井戸を掘るということを共有すると、180度違った意欲になります」
 最前線で、いかに穴掘りを井戸掘りに転換できるか。リーダーの力の見せ所です。
                         バイオ部記者 星 良孝
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