本日、RITEと住友ベークライトが「グリーン フェノール」の共同研究に着手するとお伝えしました。グリーンフェノールは、非可食植物から作る芳香族化合物。工業的に量産できるならば画期的なことです。研究開発の成功と、量産化が楽しみです。
 RITE はCorynebacterium glutamicum(コリネ菌)を利用した化学品の微生物生産を目指してきました。特徴的なのは、微生物を増殖させずに使うところです。しかも、本来は好気性細菌であるコリネ菌を無酸素の状態である嫌気条件で使います。好気性呼吸の代謝回路から嫌気性呼吸の代謝経路への「代謝経路のシフト」の現象が起きて、より効率的にターゲットの物質を生成できるという考え方です。この考え方には外部からの評価が分かれていたところで、「代謝シフトなど活用できない」といった見方もあるようです。これを「学術論争」とまで言っていいか分かりませんが、そういう面はあるようです。しかし、そうした議論をよそに、RITE チームは着実に共同研究先の企業を増やしています。むしろ最近では存在感を強めているように見えます。
 企業から見るとどうでしょうか。日本に存在し、潜在力のある技術ならば他社に先駆けて検証してみたいということなのでしょう。これまでグリーンケミカルの分野では、住友ベークライトの名前はあまり目にしませんしたが、これから本格的に動くのでしょう。異分野連携の時代、社内の技術的な資源にこだわる考えは薄らいでいると見て間違いありません。
 研究の視点で社外の資源を見ていると、学術論争の落とし穴にはまりがちです。落とし穴というのは、粗探しを始めがちということを指して、私は言っています。発想を 変えるとどうでしょう。国内のライバルを警戒するだけではなく、国内の技術資源は優れているのだとポジティブにとらえる。 すると、学術論争の立場で見るよりも、共同研究の可能性はライバルも含めて広 がっていきます。ゴールをどこに定めるか、自らの心持ちを改めてチェックするのも 役立ちます。 こう言うのは楽観的でしょうか。
                         バイオ部記者 星 良孝
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