今週、東レの社長交代が伝えられました。日覺昭廣副社長が6月の株主総会を経て、社長に就任する見通しです。榊原定征現社長は事業のシーズを見つけ出す研究畑だったのに対して、日覺次期社長はシーズに基づいて工業化に持ち込む技術畑の出身のようです。かねて東レは融合研究として、幅広い研究に力を入れてきましたので、これからは本格的に実用化に向かう、という意気込みが見えてきます。
 その東レがバイオ分野でも新しい事業を立ち上げようとしています。連続発酵生産システムで、日本農芸化学会2010年大会で、成果を発表していました。詳しくは記事としてお送りしているのですが、簡単に言えば、膜を利用して、発酵反応を途切れさせないというものです。発酵を続けると、いろいろと微生物にとって邪魔なものが増えます。効率的に発酵に使う微生物と、生成物を分離して、邪魔者を取り除けるというもので、そうしたシステムは非常に有用なものとなりそうです。東レは長く研究開発を進めてきたのですが、次々と成果を報告しておりまして、このたびは遂に700時間の連続操業も成功したということです。今後は本格的にスケールアップするということでした。
 いわば技術のパッケージとして完成させることで、関連するプロセスのどこにでも入り込めることが魅力です。バイオリファイナリー全般、発酵プロセスを含むところであれば、どこにでも使えそうです。前週にお伝えした三菱重工業も同様で、やはり商品に仕立てるところが重要です。
 東レの日覺次期社長は水処理事業の国際展開の道筋をつけた人物ですし、今の水処理事業のとりまとめをしている水処理・環境事業本部長の阿部晃一氏は研究本部長としてバイオ関連事業を推進していました。東レのバイオリファイナリー関連事業が本格的に動き出しそうです。
                         バイオ部記者 星 良孝
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