本日、三菱重工業のバイオエタノール製造の試験設備を拝見しました。「セルロース系バイオエタノール1L40円にめど」と、三菱重工が発表したというニュースを以前にお伝えしましたが、その内実を改めて理解する機会となりました。後日リポートを出すことになりそうです。日本にはいろいろとバイオリファイナリーの研究開発に取り組むところがあり、バイオリファイナリーに供給するための糖を供給する技術開発も含めて、いずれも着実に成果を挙げています。そうした中で、こと共同研究という視点で見ると、とりわけ3つのグループが最近、目立っています。
 1つは三菱重工を含めた、バイオエタノール革新技術研究組合に属する企業群です。新日本石油を中心として、トヨタ自動車、鹿島建設、東レ、サッポロエンジニアリングという企業のほか、東京大学や北海道大学などが参加します。一貫製造技術の開発が一義的な研究開発テーマなわけですが、参加するそれぞれの企業が実績を報告しており、そのことでプレゼンスが否応なく高まっているところがあります。1L40円にめどが付いたという三菱重工の試算のニュースは特に強烈なようで、私のところにも「本当なのか」と怪しむような声も届くほどです。三菱重工は、この試算について簡単に触れるにとどめていますので、その詳しい中身は追ってお伝えしなければなりません。
 さらに、神戸大学のバイオプロダクション次世代農工連携拠点です。日本でも大学を中心とした産学官連携の取り組みとしては、バイオリファイナリーに特化した異色の取り組みです。その参加企業はそうそうたる顔ぶれであり、なかなか中身のほどは見えにくいですし、研究開発では難しい課題も出ているに違いありませんが、神戸大学の盛んな研究活動が各所に影響を与えているのも間違いありません。3番目は、三井化学のバイオコンソーシアムです。企業独自のバイオコンソーシアムを発足し、植物由来の化学品の生産に向けて、憤然と研究開発に取り組んでいます。これまでたびたびニュースでお伝えしましたし、今週も、新しい話題をお送りしましたが、共同研究の成果もあるのか、実績を着実に積み重ねているようです。
 そもそもバイオマス利用は、合成生物工学、発酵と呼ばれる技術のほか、植物科学、化学、機械などの多様な技術が相まって初めて成立します。共同研究はこの分野ではますます盛んになりそうです。
 日本の研究開発の特徴として「すり合わせ」ということが言われます。協働において、当事者同士が膝付き合わせて考えるというものです。実は、バイオリファイナリーは、日本の良さが生きているのかもしれません。前処理、糖化のほか、発酵、蒸留といったプロセスそれぞれの突出した報告の当事者と会うと、驚くほど堂々としています。世界一の研究成果を出している、と。このまま行ってほしいものです。
                         バイオ部記者 星 良孝
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