いったい日本初の「バイオマス長者」は誕生するのでしょうか。要するに、関連のビジネスなり、特許のライセンス収入なりで大儲けするということですが、そういう事例が出てきたら、この分野も活気付くでしょう。「先生、儲かる話ありますか」。なにも私が言っているのではなくて、バイオマスの現場で本当に皆が関心を持っているのは、このことでしょう。ちょうど先日も、某著名大学の著名教授が口に出していました。
 三重大学で、面白い動きがありましたので、ちょうどお伝えしました。簡単に言えば、三重大学や京都大学などの研究グループが、セルロース系バイオマス利用に有効な微生物の関連特許独占に成功したということです。競争する欧米勢を先回りしたということで、画期的なことです。面白いのは、バックに住友商事が構えていることです。住商らが、今回取得したライセンスを引っさげ、タイやベトナムといった東南アジア、ブラジル辺りで大々的にプラント計画に着手しそうな観測ができそうです。三重大学の田丸浩准教授とお話しした感触によれば、事業化への手応えを感じているようです。
 今、ブラジルでは、サトウキビからバイオエタノールが旺盛に生産されるのはもちろん、エタノールからポリエチレンやポリ塩化ビニルを作ろうという計画が進行しています。経済状態が荒れたので、計画はやや遅れているようですが、どうやら2010年から2011年にかけてプラントが動き出しそうです。日本勢もブラジルで関連投資の動きがあるようですが、地理的に言えば、東南アジアで同じような計画を進めるのが得策でしょう。
 いろいろと話を聞き回っていると、事業化への足音が聞こえてきます。記者としてよく聞かれる質問は「バイオエタノールのビジネス熱はまだ続くか」ですが、やっぱりこの動きは続くでしょう。1つは、各国の規制で燃料への一定割合のバイオ燃料の混合が義務付けられ、それを増やす方向があること。さらに、エタノールから燃料に限らない化学品への展開が本格化し、用途が広がっていること。企業の姿勢も前向きです。ポジティブに見て、間違いないでしょう。日本でもバイオマス長者が生まれる時期かもしれません。実は、もういらっしゃいますか。
                         バイオ部記者 星 良孝
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