今週、東京大学農学生命科学科と新日本石油が共同で開催したシンポジウムに参加しました。セルロース系バイオ燃料の開発で、両社の関係は深くなりつつあります。新日石の存在感が静かに、しかし着実に高まっていることを感じます。
 新日石は09年に、他社と組んで「バイオエタノール革新技術研究組合」を設立し、セルロース系バイオマスからのバイオエタノール一貫生産体制を構築しようと、研究開発を進めています。新日石がコーディネーターとなり、トヨタ自動車と鹿島建設がバイオマスの栽培、三菱重工業と東レが、バイオマスの前処理と糖化、さらにサッポロエンジニアリングが発酵プロセスの開発を進めます。さらに、学術界へも協力関係を広げています。目立つところとして、新日石と東大との共同研究があります。アンモニアを利用したセルロースの結晶構造の転換を伴う、糖化技術の開発です。東大の五十嵐圭日子准教授が中心になり、次々と新しい成果を報告しており、日経バイオテクでも随時お伝えしてきました。
 今回のシンポジウムの会場で興味深かったのは、参加していた新日石の社員の方々の中に、入社後の日が浅い若手社員が多かったことです。入社1年、2年目の方々が、バイオ燃料研究に携わっているようです。これは非常に象徴的ではないかと、私には思えました。バイオ燃料が本格的に市場に出回るのは、これから10年、20年先の話。そのときに中核となって支える社員が、研究開発部門に今から確実に配属されているというわけです。見渡せば、新日石から、吉田正寛執行役員を筆頭に、バイオ燃料グループの方々が結集しているようでした。「入社1年目」に新日石の本気を見たといったら、大げさでしょうか。
 折しも、日本経済新聞で、バイオベンチャーであるユーグレナに、新日石が出資すると報道されました。近く、私もインタビューに伺おうと思いますが、新日石の八面六臂の活躍は、日本のトップの動きとして、目が離せないところといって間違いありません。
                         バイオ部記者 星 良孝
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