2月3日、バイオマス活用推進専門家会議が始まりました。日本のバイオマス活用の方向付けをすることになります。同じ日、地球環境産業技術研究機構(RITE)が主催する「革新的環境技術シンポジウム」がありまして、バイオ研究グループの湯川英明グループリーダーが。バイオマス利用についてこう述べていました。「プラスチックやアミノ酸など“燃料以外”の化学品への変換の工業化が先行して進む」。これは国のバイオマス政策にも必要な観点になりそうです。
 日本においてバイオマス利用の代表格はバイオエタノールです。飲用アルコール生産の歴史が長く、酒造が事業として成り立ってきたからです。2002年、バイオマス・ニッポン総合戦略が作られて、06年にいわば“発展版”が出たわけですが、ここでもバイオマス利用の中心はバイオエタノールでした。2010年までに、日本のバイオエタノール生産能力は、北海道の2大工場を中心に、3万kLを超えるまで拡大しました。今後も、着実に増えていきそうです。ただし、いつまでもコストの問題がつきまとっています。「本当にバイオエタノールは経済的に成り立つのか」という声がやみません。
 湯川グループリーダーの言うところで重要なのは、燃料以外のバイオマス由来化学品は生産設備の規模が小さいということです。燃料よりも1けた、2けた小さくても経済的に成り立つと言います。バイオエタノールが経済的に動き出すには、年間で数十万kLの生産能力を作り出す設備が必要で、投資額は大きくかさみます。バイオマスの調達が容易ではない中で、安定的に生産可能か不透明なバイオエタノール生産に乗り出すのは、難しい決断です。それに対して、燃料以外のプラスチックやアミノ酸であれば投資額が相対的に少なく、既に化学メーカーを中心に生産設備を日本国内でも建設しています。この方向がさらに早く進む可能性が高いのです。
 バイオマス利用先として、材料利用、飼料利用といった燃料以外の部分をより細かく検討すべきという考え方は、理にかなっています。バイオマス活用推進専門家会議は、これから戦略を策定しますが、燃料以外の部分をより詳細に盛り込んだ内容が求められると、私は考えます。
 なお、日経バイオテク2月1日号に、湯川グループリーダーのインタビューを掲載しました。非常に興味深いので、合わせてお読みいただけましたら幸いです。
                            記者 星 良孝
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
※※過去のメールはブログにあります。ブログではコメントも受け付けております。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/green/
◆BTJの関連記事◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            農業・環境関連の記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「輸送用燃料、すべてバイオエタノールで代替可能」RITE茅研究所長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8565/
「バイオマス活用推進基本計画」作りが始動
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8560/
BASF Plant Science社とKWS社、高収量サトウダイコン開発で提携
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8503/
DSM社、Bioprocess Control社に資本参加しバイオガスプロセス構築で提携
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8453/
アステラス製薬、熱帯微生物を使った医薬品でマレーシア国営企業と共同研究
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8369/
トクホ有効性試験、「秋田連合」が格安で受託開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8371/
植物工場拠点、全国11カ所が固まる
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8364/
「生物多様性条約“ABS”が最大の焦点、第1関門はコロンビア」バイオインダストリー協会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8370/
「バイオ海賊」、リスク管理が必要不可欠
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8339/
海外由来の微生物取得、NITEが独自スキームを推進
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8340/
カルピス、モンゴルから241種類の乳酸菌・酵母を輸入
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8304/
生物多様性の資産価値は最大5400兆円
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8303/