行政刷新会議の事業仕分けで、政府からの研究開発関連の資金供給が圧縮される方向性が打ち出されました。ノーベル賞受賞者や大学学長などが批判しています。私は、今回の件で、日本の研究開発のあり方が急速に変わると考えています。
 これまでに「オープンイノベーション」という考え方が唱えられるようになっています。産学官連携といった言葉もはやり言葉のように巷間言われるようになりました。研究開発組合を作って、研究開発を共同で進める形も出ています。要するに、1大学、1企業だけで研究開発をする動きが徐々に改められてきました。日本で、このオープンイノベーションが定着したかに見えます。
 しかし、実はこれら連携が今までは形骸的な側面があり、これから本格的に拡大期に入るのではないかと思うのです。取材を日々していますと、日本には縦割り組織の問題があって、うまく連携が取られていないといった話を聞きます。詳しく見ていくと、いわば、我田引水的な考え方が、時には相手に利益を譲る必要もある共同研究の広がりを妨げている面があります。地域、企業、大学がつい自らの利益を追求してしまうのです。それは自然なことなのですけれども、これからは変わると考えます。
 要するに、もうせざるを得ない段階に来ているということなのでしょう。事業仕分けで研究開発投資が圧縮されたのは、表層的な動きに見えます。本質的には、日本の研究開発体制を劇的に変えなければならない、そういうことではないでしょうか。中国、アジアを中心とした新興国の進展に追いつく必要が出ています。危機感を持った企業、大学、研究機関が、今回の事業仕分けをあたかもきっかけにしたかのように、新しい動きを起こしてくると見ます。企業や大学の資源分散を改める必要があります。提携、買収、合併といった目に見える形で、本格的なオープンイノベーションの動きが増えてくるはずです。企業だけではなく、大学や研究機関においてでもです。
 とても良い機会ですので、来週から「異分野連携」「ジャパンスタンダード」「地域の役割の明確化」という3つの観点から、日本の向かうべき道についてここで3回連続で考えてみたいと思います。
                              記者 星 良孝
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