イオン液体という溶媒が、さまざまな産業で注目を集めています。興味深いのは、多くの企業が密かに研究開発に使っているという点です。聞くところによると、日本国内だけで1t近くが出回っているそうです。ですが、とりわけ企業は、どのように使っているか、あまり表に出してきません。
 イオン液体というのは、常温でも液体の塩です。塩といえば普通は、坩堝(るつぼ)を使って、バーナーで時間をかけて熱すると、ようやく真っ赤になって溶けてくるというものです。融点は高く、例えば、食塩の融点は801度です。それがイオン液体は全く異なるのです。常温での見た目は植物油のようなやや粘性のある液体です。触っても問題はないとのことです。今週は、九州大学の神谷典穂准教授にお会いしまして、イオン液体を利用したセルロース分解について伺いました。高い糖化率で糖に分解したとのことで、世界的に見ても、高い糖化率を達したということでした。既に、そのことはニュース記事でお伝えしています。
 今後、イオン液体を利用したバイオマスの有効利用法の開発が世界的に過熱しそうです。理想的なイオン液体のセルロース分解プロセスを示していきますと、まずイオン液体にセルロースを溶かして、酵素で分解する。そこに水を投入することで、その水に糖が溶け込む。イオン液体が疎水性であれば、水溶液と分離し、その水溶液から高い効率で糖を取り出せる。そういうビジョンが描けます。しかし、残念ながら、現状では、セルロース が溶けるのは親水性のイオン液体のみとのこと。要するに水溶液と容易に分離できないのです。世界の研究者が目指すは、疎水性のイオン液体の開発です。
 イオン液体にセルロースが溶けることが分かったのは2002年。研究開発は緒に付いたばかりです。世界中の企業や大学が水面下で研究開発にまい進しています。今後、新しい発見が突然降って沸いたように出てくるかもしれません。
                              記者 星 良孝
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
◆BTJの関連記事◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            農業・環境関連の記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
訂正、イオン液体による実バイオマス分解、九州大学が世界最高水準の糖化率で成功
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6748/
バイオディーゼル燃料の酵素法プラント、神戸大学が世界初の工業生産へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6705/
三菱ケミカルホールディングス、植物由来プラスチック強化の方針変わらず
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6668/
出光興産、「アグリバイオ」「再生可能エネルギー」に期待
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6608/