BioJapan2009が先週末に終わりましたが、最後のセッションで、民主党の文教政策を担当する文部科学省、鈴木寛副大臣が登壇してお話されていました。そこで、耳に残ったのが「コミュニティー主権」という言葉でした。
 鈴木副大臣はコミュニティー主権の話題を出すときに、地方分権に言及しました。自公政権で、元総務大臣の片山虎之助氏らが中心となって、地方分権改革が押し進められていました。自公政権の末期には、地方分権は尻すぼみになって、議論があまり世の中に伝わってきませんでした。ですが、鳩山政権になって、地方分権の話が再燃しています。「ひもつき補助金の廃止」や「交付金の増額」といった形で、地方分権の議論が始まっているのです。鈴木副大臣は、地方分権においては、主権者はリージョナル(地域)のことではなくて、コミュニティーだと言います。鳩山政権は、コミュニティーが主権を持って、主体的にルール作りに携わるべきだと考えているというのです。
 いったいこれはどういうことなのか。例えば、環境、農業バイオの政策を作るという場面では、現場に密接なコミュニティーが強く関与していくということになるのでしょう。従来、政府が果たした役割が現場に降りてくることになります。当然、従来以上に責任がのしかかってきます。所属者が膝詰めで議論していかねばならないでしょう。カネの出方が密接に関連する話でもあります。これまで政府は地方に対して、「何々の目的でカネを使ってね」と言ってきましたが、「さあ、カネを渡しますから、自分の判断で使ってくれ」となります。コミュニティーはカネの使い方をよく考えないといけません。
 私は、補助金というののあり方をこの際変えてしまってはどうかと思いました。環境、農業バイオの分野に限らず、科学技術関連すべてに共通することかもしれませんが、競争的資金でもって、政府の科学技術政策が推進する流れが強くなっています。良い面はあるのでしょうが、競争的資金が分散的にばらまかれており、一体感がないというデメリットもありそうです。国全体の戦略を今までのカネの出し方で遂行できるかどうかは不明な点もあります。
 コミュニティー主権の考え方に沿った、鳩山政権流の補助金政策があるとすれば、例えば、環境や農業バイオのケースでありば、現場に携わるところが団結してコミュニティーを作り、戦略を作って、そこにカネが投じてもらうとやるわけです。利害関係が複雑でまとまらないよ、というオチもありえますけれども、戦略的に重要分野を伸ばすには、良い策になるのではないでしょうか。
                              記者 星 良孝
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