帝人がCargill社との折半出資会社だったNatureWorks社の保有株式をCargill社に売却することを決めました。これは帝人の一つの転機になることは当然ですけれども、日本のバイオプラスチックが次のステージに移ろうとしていることを象徴するように見えます。
 バイオプラスチックは今後、2つの流れのどちらかに分類されるようになります。一つは、植物由来ならではの特徴を持った、既存の化石燃料由来の樹脂を超える品質を有する樹脂。あるいは、化石燃料由来の樹脂と同じ組成を持つ樹脂で、同じ品質のものです。
 これまで、植物由来ならではの機能というと、生分解性という特徴がメーンでした。帝人が経営参加したNatureWorks社はこの機能の武器としたポリ乳酸樹脂を製造、
販売してきました。
 帝人は、より融点が高く、有機溶媒への耐性も持った高品質のポリ乳酸樹脂を自主開発していました。京都工芸繊維大学、武蔵野化学工業、ミューチュアルとの共同開発から誕生した製品です。
 従来型のポリ乳酸の機能と、新たなポリ乳酸の機能を比較した時に、両方を自社に抱え込んで伸ばすことも選択肢の一つでしょう。しかし、今、帝人は前期に過去最大の赤字を記録するという経営上の試練に向き合っています。より汎用性の高い、新型ポリ乳酸樹脂に集中する選択を取りました。
 化学メーカー、繊維メーカー共に、将来の化石燃料の枯渇を視野に入れて、植物由来の原料で樹脂、フィルム、繊維を生産する戦略を明確に打ち出しています。今後、新たなバイオプラスチックが続々と出てくるでしょう。その時の風景は、生分解性樹脂が主流だった従来のバイオ樹脂市場とは一変するものになる可能性が高いでしょう。
                              記者 星 良孝
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