セルロース系バイオエタノール商業化へ向けた研究開発が動き始めています。石油業界の雄である新日本石油でバイオエタノール事業をまとめる吉田正寛氏にお話を伺いました。ウェブでお伝えしています。
 新日石のバイオ燃料に対する本気度がいかなるものか、直接伺ってみたいと思っていました。NEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)が4月に、セルロース系エタノール製造の新たなプロジェクトの研究委託先を決めています。新日石は、2グループが決まったうちの1つ、バイオエタノール革新技術研究組合の中心となります。
 バイオエタノール製造の重要課題は、セルロースの前処理です。いかに、硬いセルロース結晶を分解するか。バイオエタノール革新技術研究組合はアンモニア法という一風変わった技術を適用しています。研究委託先の決定の際に、基本となる技術として示していました。
 私には意外感がありました。バイオエタノール革新技術研究組合のグループには三菱重工業が含まれていたからです。三菱重工は、水熱処理によるセルロース分解を研究してきました。研究組合でも前処理を担当していましたから、その技術がNEDOプロジェクトでも採用されると見られたからです。
 このたび伺って、新日石はアンモニア法の未知なる可能性に挑もうとしていることが分かりました。何しろ、新日石が東京大学農学部と共にアンモニア法の本格的な研究に着手したのは2006年です。まだ始まったばかりの研究と言えるでしょう。計算上、アンモニア法を適用することで、適用しない場合よりもセルロースからの糖収率が10倍になるといいます。詳細については明かせないようですので、今後、詳しいデータが発表できる時期になることを期待します。
 印象的だったのは、採算と事業化に対する吉田氏のこだわりです。必ず利益を出して、商業化してみせると言います。事業化に「本気だ」と断言されていました。バイオエタノール関連事業は、産業として魅力的なのか現在では判断が難しいです。株式市場でも、バイオ燃料に対する期待から買いを集めている銘柄は皆無でしょう。農業に対する期待が高まっているのは事実ですが。米国ではバイオエタノール関連銘柄は低迷しているようです。食料系原料からバイオエタノールを生産する企業の中には、破綻するところも相次いでいます。
 だからこそ、バックアップする資金力がしばらくは必要です。石油大手はバイオガソリンの販売を開始しています。6月以降、参議院において衆議院で可決された「バイオマス活用推進基本法案」の議決が行われる見通しです。それぞれ、新しい動きになるでしょう。バイオエタノールが根付くか、しばらく注視していきたいと思います。
                              記者 星 良孝
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