今週、船舶大手の三井造船に取材する機会がありました。まず、三井造船がバイオエタノール事業を大きく育成しようとしていることを確認しました。そして、さらに、三井造船がセルロース系バイオマスの水熱処理プラントを事業化する方針であることをお伺いすることができました。従来、希硫酸を利用して、セルロースの分解、糖化の研究で、日本全体でも有名でした。三井造船は、三菱重工業および川崎重工業が開発にしのぎを削る新たな分野に参入していくことになります。三井造船のバイオエタノール戦略の大転換期に、事業トップに取材できたことは非常に貴重なことでした。
 水熱処理は、平たく言えば、植物の繊維を「煮る」だけです。シンプルな技術である半面、硬質の繊維は容易に切断できるわけではありません。高温高圧の熱水をどのように扱って、植物繊維を切断するのか企業の技術力が問われます。従来、日本において、三菱重工および川崎重工が開発を進めてきました。そこに三井造船が加わって、水熱処理の技術が日本にさらに蓄積されるでしょう。日本発の技術として確立することは楽しみです。
 日本勢は欧米からは遅れて、バイオ燃料の研究を推し進めてきました。そして、様々な技術を検証してきました。先行組の中には、大量のデータが蓄積してきたと見られます。今後、商業化に向けて、日本のセルロース系エタノール開発は新たなフェーズに向かうことになりそうです。
 この4月2日には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が新たなセルロース系バイオエタノールプロジェクトの研究委託先を決めました。2つのグループが選ばれて、そのうち1つは、新日本石油を中心としたバイオエタノール革新技術研究組合と東京大学のグループに決まりました。それからもう1つのグループは若干、意外感がありました。王子製紙、新日鉄エンジニアリング、産業技術総合研究所のグループが当選しました。
 意外というのは、今年、王子製紙の方に「パルプ製造技術を利用すると、バイオ燃料の生産が効率的に行えないか」と問い合わせたことがあったからです。その時には、会社の回答から、目立った研究があるという印象は受けませんでした。バイオ燃料関係は新規事業に当たりますから、照会すべき部署が見えにくかったのかもしれません。
 私は、これから、王子製紙を含むグループのほか、さらにセルロース系バイオエタノール研究開発グループに取材していきます。バイオプラスチックの領域も同じように進歩は著しいですから、視野を広げつつ事業化の先頭にアプローチしたいと思います。
                              記者 星 良孝
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