私は先週末に、日本農芸化学会2009年大会に取材に行きました。農業・環境バイオの演題について取材をして、それを順次、ウェブサイトでお伝えしています。その会場で、農業・環境バイオ人材の主たる供給源である農学部の教育に関する演題がありました。大学がカリキュラム作りに苦労しているという議論がなされていました。
 以前に、私は日経ビジネスという経済誌で工学部の問題を取材しています。ちょうど、議論は重なる部分もあり、関心を持ちました。
「さらば工学部」日経ビジネスオンラインより
http://business.nikkeibp.co.jp/special/tech/eng/
 大学が育てる人材と、産業界が望む人材像とのギャップをいかに埋めるかがよく議論になります。大学院重点化、国立大学法人化などで、私立大学は元より、国公立大学が、応用研究を重視する流れがこの10年できていました。その影響が教育に及んで、学生が基礎学習をないがしろにして、応用学習にながれています。
 学生が基礎知識という足腰が弱いうちに社会に出ていって、新たに対面する未知の問題に対応することが難しくなる。そうした問題について、産業界だけではなく、大学界も問題にしています。来年から、第4期科学技術基本計画においては、教育が従来以上に重要視される方向にあると、産業界および大学界のトップから話を聞いています。
 工学部であれば、例えば、電気ですと、マクスウェルの方程式、シュレーディンガー方程式、回路論。材料ですと、状態図、速度論といった基本のキとなる学問が存在しています。そうした基礎学問の徹底的な学習が今後重要だという話を以前に聞いたことがありました。
 農芸化学会で行われていた議論の中でも、基礎の重視ということが若干言及されていました。ですが、私には農学部というのは工学部ほどに危機感は強くないと聞こえました。というのも、農学部は2001年以来のバイオに対する国の支援の結果、学生数の減少は軽微にとどまっているからです。工学部は1990年代のピークから、入学者数が4割にまで落ち込んでいます。
 工学部は存亡をかけて、教育改革に早期に取り組んでいました。今でも、改革は続いています。農学部は学生集めという面では恵まれている面はあります。農学部が工学部の取り組みから学んで、さらに強くなるというのはいいかもしれません。
                              記者 星 良孝
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https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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