今年、「太陽経済の会」という民間組織が発足しました。太陽経済の会は、国と民間が共同して投資資金を出し合う「官民ファンド」成長への土壌作りを狙います。今、旺盛に会員を募っており、既に大手企業が参加を決めているようです。
今週、そのトップを務める山崎養世代表理事のインタビューを、私たちはお届けしました。山崎代表理事は、東京大学経済学部を卒業後、大和証券を経て、投資銀行としてその名を馳せた米銀行のグループ企業であるゴールドマン・サックス投信社長に就任しました。ゴールドマン・サックス本社の共同経営者も経験しています。事業投資の経験は豊富なことに加えて、敗北はしましたが徳島県知事選に立候補したり、高速道路無料化論の書籍を発刊したりと、積極的に政策の提言をしていることでも知られています。
 私と山崎代表理事の話は思いのほか盛り上がりました。ちょうど私は、今年2月に米国ジョージア州に訪問していました。Georgia Research Alliance(GRA)という民間組織があり、研究者らに奨学金を出していました。山崎代表理事は、そのGRAの取り組みに高い関心を持っていらっしゃいました。ジョージア州アトランタには、コカ・コーラをはじめとした有力企業の本社があり、そうした企業がGRAに対して出資します。その資本金を元手として、GRAが認定した優秀研究者に奨学金が支給されています。GRAの面白いところは、資金の流れが奨学金にとどまらないところです。GRAが認定した優秀研究者は高く評価されて、政府や州がその研究者に億円単位の助成金を供給するのです。そこまでが、大きなシステムとして機能しています。いわば「官民ファンド」の取り組みと言っていいでしょう。山崎代表理事は、日本でもこれを目指すべきだと話していました。
 山崎代表理事とのやり取りは楽しいものでした。山崎代表理事は、欧米のベンチャーキャピタルの投資残高が30兆円なのに対して、日本のベンチャーキャピタルの投資残高は1兆円程度にとどまることを問題視していました。「日本は家計セクターの金融資産が1400兆円近くあって、これが有効利用されていないといわれる。では、一般の人がどこに投資すべきか判断できるか。それは難しい。日本には、どこに投資すべきかを判断する機関がない。これから、再生可能エネルギーを軸として、経済構造は大きく変わっていく。そうした時に、官民が力を合わせて、投資先を見極めて、大きく投資していける仕組みが必要になる」といった趣旨のことを山崎代表理事はおっしゃっていました。私はそこにとても共感しました。
 ちょうど、それとは別に、私たちの媒体で活躍している長光大慈記者が、科学技術振興機構主催のシンポジウムの報告をしています。そこで、日本総合研究所の寺島実郎会長が、経済構造のパラダイムシフトについて語っています。同じシンポジウムのパネル討論会で、日本の科学技術外交について議論されています。今後、経済構造が変化する中では、日本という国が一丸となって、強化すべき方向に対しては大きく資金を張っていくことが重要になるのかもしれません。
 先日、セルロース系バイオエタノールの取材をしていた時に、ある技術関連のトップにおられる方も、国の出方に大きく注目していました。政治の動きに目が離せません。
                              記者 星 良孝
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