私は3月11日、三井化学が千葉県かずさアカデミアホールで開催している触媒科学国際シンポジウムに取材しました。そこで、三井化学触媒科学研究所の田脇新一郎博士が、プロピレンの前駆体となるイソプロパノールを、世界最高水準の生産効率で作ることに成功したことを発表しました。
 三井化学自らが開催するシンポジウムで、肝いりの研究を世界で初めて発表したわけです。私は2008年夏に、このたび発表をした田脇博士と、同じ研究チームにいらっしゃる和田光史さんに取材しています。田脇博士は当時から発表の準備をしているようでした。長い準備期間を経たことが効を奏したのか、今回の発表では、聴講者の目は釘付けになっていたように、私は感じました。
 2008年夏に、田脇博士ほか研究者の方々は、バイオエタノールの生産が目的ではなく、バイオ原料から化学品を生産することが目的と強調されていました。大腸菌に遺伝子を導入して、高い効率で化学品を作る方法について詳しく説明していただきました。2008年夏の時点では、肝心の研究の進捗や生産効率については言えないことが多いということでした。今回、田脇博士は生産効率についての数字を初めて公表しました。今回の発表では、最初に田脇博士は自ら「緊張している」とおっしゃっていましたが、力が入った背景には、発表の後半に世界初めての発表内容があったからだと、私は思います。
 三井化学の発表について、発表当日に、私はウェブ上でお伝えしました。それと併せて、三井化学の山口彰宏研究本部長へのインタビューも載せました。山口研究本部長が自信を持って、自社の研究体制で事業化を必ず成し遂げるとおっしゃっていたのが印象的でした。自社の研究成果が念頭にあったのかもしれません。世界的に、バイオプラスチック事業化が進みつつあります。山口研究本部長の言葉を借りれば、主戦場は、特殊品ではなく、汎用品ということです。
 ちょうど、今週は農林水産省の石破茂大臣が、経済財政諮問会議に対して農政新戦略を説明しました。その中で、大きくバイオプラスチックについて強調されています。私は、ウェブ上でその中身もお伝えました。バイオ燃料を超えて、バイオ樹脂の開発競争が激しくなってきそうです。
                              記者 星 良孝
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