日本の政界はいよいよ選挙モードを強めてきました。自民党を離党した渡辺喜美氏の選挙区に対して、自民党の古賀誠氏(党選挙対策委員長)は対立候補を立てるよう党の栃木県連に要請しました。一方の渡辺喜美氏は、自民党が対立候補を立てた場合、栃木のすべての選挙区に自ら擁立した候補者を立てると挑発しています。
 同じような自民対民主の攻防は全国で起きています。自民党政権は持ちこたえるか。民主党を中心とした野党はどこまで議席を伸ばせるのか。
 先週のBTJ/GreenInnovationメールでお書きしました通り、日本版グリーン・ニューディールでバイオ関連の施策がどのように盛り込まれてくるか。政権与党や民主党の動きを探っています。1年後には、どちらの党が政策の主導権を握っていても不思議ではありませんから、両党に目を向けるのは必然的です。
 もっとも、日本においては、現状ではほとんど具体的な施策が固まっていないというのが実状なのでしょう。政権に近い人に話を向けても、ぱっとした答えは返ってきません。もっとも、私がまだ深く入り込めていないこともあるかもしれません。
 政策の実行部隊である省庁の方々にお話を伺っていると、バイオ燃料について言えば、堅実な技術開発を重視するか、実証試験を先行させるかという大きく2通りの考え方があるようです。前者は経済産業省、後者は農林水産省の考え方に近くなります。
 追って、さらなる取材を進めようと思いますが、経済産業省の立場は以下の通りでしょう。日本においては、バイオ燃料より先に、太陽光発電や燃料電池、あるいは原子力発電といった優れた技術がある。短中期のエネルギー需給を考えれば、バイオ燃料が大きく増えることはない。強いところを、さらに強くしていくことが賢明な選択になる。
 農林水産省にとっては、農産物の用途拡大は国内農業の振興のためにネガティブな要素はあまりありません。例えば、コメのバイオ燃料原料としての利用を推し進めようとする動きがあります。減反を進めるか否かという議論がありますが、バイオ燃料としての用途を開拓できれば、減反をこれ以上進めなくてもよくなります。農家にとっては新たな収益源を獲得することになり、耕作放棄地も減らせる。願ってもない施策となります。
 国の方向性が定まらないことがあってか、バイオ産業の育成を担う企業に取材してみると、前のめりで研究開発に取り組んでいる感じは受けません。あくまで今後に備えているといった印象があります。バイオマスは諦めたという企業もありました。
 何かヒントはないかと、先日、47都道府県の農業試験所と分類されるところすべてに電話をかけてみました(現在は多くが研究所の統廃合で名前を変えています)。一部はつながりませんでしたが、そこで農業・環境バイオに横たわる問題を感じました。
 私が課題であると思うのは、日本の農業・環境研究の分散化です。農業は地域振興とからむので仕方ないのかもしれませんが、都道府県ごとに農業関係の研究所が運営されています。地域振興のための農業研究とバイオ関連の研究は元々は別のものでしたが、最近の流れではお互いに補完していった方が効率的であることは増えてきています。バイオ燃料の生産のための多収穫米の育種や創出といった分野はそうでしょう。遺伝子組み換えも視野に入れた研究も、そうした面はあるでしょう。ばらばらの限界がありそうです。
 今後、日本版グリーン・ニューディール政策が出てくるでしょう。「技術大国ニッポン」の看板を大切にする観点からは、農業・環境技術体制の大幅な改造というのを選択肢に入れてもいいのではないでしょうか。キーワードは一枚岩になることと考えます。私はこの3年間ほどの重要テーマとして、農業研究所の問題を含めたいと思います。
   
                           記者 星 良孝
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