バラク・オバマ上院議員が第44代大統領に就任することが決まりましたね。事前の予想に反して、かなりの大差をつけた勝利でした。気になるのは、オバマ次期政権のバイオ産業への影響です。
 可能性が高そうなのは温暖化対策の転換。オバマ氏は環境問題にも熱心な姿勢を見せており、ポスト京都議定書の枠組みへ参加することにも積極的な姿勢を示してきました。排出権取引や石油の中東依存からの脱却へ向けた動きも加速しそうです。
 バイオマスは、あくまでエネルギー源の1つではありますが、今後、バイオマスからエネルギー、化学品を作る動きはさらに本格化することは間違いなさそうです。となると、次に問題になるのは、増えるバイオマス需要を世界でどのように賄っていくかとういこと。

 エネルギー源として非可食資源を持続可能な形で利用する、というのもその1つの手段ではあります。ただ、現在世界では、エネルギー源としてのバイオマス需要だけでなく、食肉などたんぱく質需要の増加(=飼料用穀物需要の増加)、新興国の成長で、食糧としてのバイオマス需要も増えており、穀物の収量を上げようという動きがこれまで以上に本格的になってきました。

 最近、「緑の革命2.0」、「第二の緑の革命」といった言葉をよく目や耳にしませんか? ご存知の通り、緑の革命は、高収量品種の利用によって作物の収量を上げようとした動きです。1940年代ごろからメキシコ、インドなどに広がりました。緑の革命については、食糧増産に寄与したという評価がある一方で、高収量品種の栽培には多量の水と化学肥料が必要だったため、環境汚染を引き起こした、農業に必要な費用が大幅に増えたといった指摘もあります。

 いずれにせよ、現在、世界の種子メーカーは、組み換え技術、DNAマーカー育種を含めた育種技術、農業器具を含めた農業技術の改良を組み合わせ、この緑の革命をふたたび起こそうと考えています。実際、米Monsanto社は、2030年までに単位あたりの収量を倍に、投入資源を3分の1にすると表明しています。米国のトウモロコシを例に見ると、現在の収量は、1エーカー(約4000平方メートル)当たり約150ブッシェル(約5300リットル)ですので、それを300ブッシェル(1万600リットル)にしようというわけです。

 具体的な製品として最も期待されているのは、耐乾性の作物。Monsanto社は既にドイツBASF社と共同で、降水量の少ない土地でも栽培できる第1世代の耐乾性トウモロコシを開発中で、順調に行けば2015年ごろに実用化される見込みです。

 さらに乾燥度合いの高い土地でも栽培できる第2世代の耐乾性トウモロコシは、現在コンセプトの実証段階にあり、これらの開発が成功すれば耕地に適さない土地で作物を栽培できる可能性も出てきます。将来、欧米の種子メーカーの競合は中東の石油企業になるのかもしれません。

                               記者 久保田文

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