一昨日から名古屋でスタートした日本癌学会に取材に行きました。日経バイオテクにとっては医薬分野もバイオ技術の重要な出口なので。。個人的に感じたのは、“活気と変化”です。シグナル伝達パスウェイについての理解が進み、計測技術や画像技術が進歩し、がん幹細胞や制御性T細胞といった新たな概念が生み出され、それが新たな知見に着実に繋がっているという印象を受けました。
 同じように私は、農業・環境分野にも“活気と変化”が訪れていると感じています。先週も書いたように、国内の化学メーカー、米NatureWorks社やブラジルBraskem社の動きがまさにそれを象徴しているといえるでしょう。
 さて、そういった意味から2008年度にスタートした新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「バイオマスエネルギー先導技術研究開発」にも興味を持っています。プロジェクトが本格スタートするのはこれからのようですが、採択された研究テーマで何が行われるのか、できる限り取材したいと思っています。
 その第1弾として先日、筑波大学の高谷直樹准教授のところへ取材に行きました。高谷准教授が狙っているのは、芳香環の入った化合物を発酵生産すること。芳香環の入った化合物の発酵生産は、ほとんど実用化されていないのが実情ですが、高谷准教授はたまたま菌のスクリーニング中にD体の3-フェニル乳酸を発酵生産する担子菌を見つけました。
 詳細は、日経バイオテク・オンラインでお読みください。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/7205/
 研究の課題は、生合成経路の強化と収率向上。ただ、それ以上の課題は、用途の開発です。3-フェニル乳酸は抗菌物質として知られ、実験試薬として販売されて入るものの、化成品原料としては利用されていないため、これから用途開発をしないと、という段階です。
 「発酵や酵素反応でコレが安価に作れそうだ。でも、コレが何に使えるのか、よくわからない」――。この分野の取材を始めて、バイオの研究者からこういった話をよく聞くようになりました。「だったら、初めから用途が開発されている化合物を作ればいいのに」、というご指摘もあるとは思います。
 しかし、個人的には、こういったボトムアップの研究もあっていいのではないかと思っています。石油由来の化学品原料にはできない(またはコスト的に見合わない)ような、まったく新しいモノを生み出す可能性もあると思いますから。ただ、これらの研究には、バイオ分野の研究者と化学分野の研究者(さらには化学系企業)との強力なタッグが不可欠なことは言うまでもありません。
                               記者 久保田文
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https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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