みなさん、こんにちは。実は今日、出張で遠出しているため、1日前倒しでこのメール原稿を書いています。台風が近づいて来て、やっと夏も終わりかな、という気分になってきましたね。
 さて、今日は先週に引き続き、国内化学メーカーの話題を取り上げたいと思います。先日取材に伺った、三井化学の研究開発についてです。三井化学は以前から、D-乳酸の生産系の開発など、微生物を改良して化学品の生産に利用するための研究を進めてきました。同社の触媒科学研究所には生体触媒グループという組織があり、固体触媒や錯体触媒に並んで、微生物(たんぱく質)をベースとした生体触媒の研究を行っているのです。原油価格の上昇、セルロース系バイオマスのような非可食資源を利用するニーズの高まりなど、事業環境の変化を受けて、同社は08年から「バイオコンソーシアム」を立ち上げました。詳細は日経バイオテク・オンラインをお読みください。
 
三井化学、08年からバイオコンソーシアム立ち上げ生体触媒研究を強化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6007/
 
 コンソーシアムでは、複数の研究機関や企業と共同研究契約やコンサルタント契約を結び、セルロースの資源化や遺伝子の探索、組み換え微生物の創製や改良、メタボロームや培養技術に磨きをかける狙いです。
 
 また、すでに外部で開発された技術を導入し、商業化に向けた研究開発も進めています。新潟バイオリサーチパーク(新潟市、佐藤征也社長)などとの共同研究がそれです。新潟バイオリサーチパーク、新潟薬科大学、東京工業大学の研究グループは、グルコースを炭素6員環化合物に変換する2-デオキシ-シロ-イノソース(DOI)合成酵素遺伝子を組み込んだ大腸菌を開発し、不要な遺伝子を破壊するなどして、その大腸菌のDOIの生産効率を向上させることに成功。三井化学は、DOIの商業生産に向け、共同研究新潟バイオリサーチパークや新潟薬科大学と共同研究を行っています。ちなみにグルコースからDOIが発酵生産できれば、化学触媒を用いて脱水してベンゼン環を製造し、農薬の中間体などに利用されるハイドロキノンやカテコールを作ることができるのでは、と期待されています。
 
 ほかにも、社内における研究でエチレングリコールからグリコール酸を生産するグリコール酸用生体触媒(グリコール酸生産菌)を開発。エチレングリコールからグリコールアルデヒド、グリコールアルデヒドからグリコール酸の変換を担う酵素の強化や、グリコール酸から別の物質への変換を進める酵素の破壊により、エチレングリコールからグリコール酸への変換効率を高めたほか、補酵素の再生を強化しました。NADHからNADへの再生に関係する呼吸鎖の酵素のうち、特定の酵素の発現を強めて補酵素の合成を強化することにも成功しています。
 
 海外では、こういった生体触媒の研究をコアにしたベンチャー企業などが散見されますが、国内ではほとんどないのが現状です。というわけで、少なくとも、国内化学メーカーの動向には目を配って行きたいと思っています。
 
                              記者 久保田文
 
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https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
 
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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6001/

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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5821/ 
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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5885/ 
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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5809/ 
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