みなさん、こんにちは。先週、先々週と学会などで出張続きでしたが、今日はこの原稿を会社で書いています。
 読者の皆様のおかげで、BTJ/GreenInnovationメールは、07年8月末に第1号を配信してから約1年が経ちました。石油価格の高騰は一時に比べて沈静化してはいますが、どの企業も新しい価格体系の下でものづくりをする必要に迫られています。取材を通して、バイオ技術を使ったものづくりの波は、高価な医薬品や食品ばかりでなく、汎用化学品にも広がっていることを実感しています。BTJ/GreenInnovationメールでは、バイオ技術という視点から、この波を読者の皆様にお届けできればと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
 さて、本題です。2008年8月27日から宮城県仙台市の東北学院大学で開かれていた日本生物工学会では、農芸化学会同様、エタノールに関心が集まっていました。たまに聴衆が溢れた部屋を通りかかってみると、セルロース系バイオマスからいかにエタノールを生産するか、という演題でした。背景には、セルロース系バイオマスを使う研究に、研究費が流れ込んでいる事情があります。
 その傾向は、さらに強まることになりそうです。経済産業省は、09年度から新たに「食料と競合しないバイオエタノールの革新的生産システム開発」プロジェクトをスタートさせる予定です。狙いは、「経済的かつ安定的な実用化レベルのバイオエタノール生産拡大モデル構築を目指し、食料と競合しないセルロース系資源作物の栽培から、バイオエタノールの製造に至る、革新的技術を用いた一環生産システム
の開発を行う」こと。担当する新エネルギー対策課は、09年度予算の概算要求で、同省は同プロジェクトに9億円を要求しました。
 もちろん、生物工学会ではエタノールの話題以外にも、聴衆の関心が高かった演題がいくつもありました。聴衆の関心もきわめて高く、個人的にも非常に興味深いと思った発表は、福井県立大学の濱野吉十氏の「アミノ酸ホモポリマーε-ポリ-L- リジンを合成する新奇非リボソームペプチド合成酵素」です。
 ε-ポリ-L-リジン(εPL)は、食品添加物や飼料添加物、医薬、農薬、電子材料など、幅広い用途に利用できると期待されているアミノ酸ホモポリマーです。研究グループはεPLを産生する放線菌から、ε-PL合成酵素を精製し、遺伝子を取得して、その基質特異性などを評価しました。論文発表の関係で、現時点では詳細に報道することができませんが、追って日経バイオテク・オンラインで報道したいと思っています。
  
※ちなみに新奇非リボソームペプチド合成酵素とあるのは、酵素がユニークな性格
を持っているためです。
 
                              記者 久保田文
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
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