みなさん、こんにちは。昨日に配信するはずだったBTJ/GreenInnovationメールですが、出張先の通信環境が良くなかったので、配信が一日遅くなってしまいました。大変申し訳ございませんでした。
 さて、今日はお天気の話題はスキップし、トヨタ自動車のポリ乳酸事業に関するスクープをお知らせします。本誌の取材により、トヨタ自動車が国内の化学メーカーにポリ乳酸の実証プラントを売却したことが明らかになりました。まずは、以下の記事をお読みください。
トヨタ、国内化学メーカーにポリ乳酸の実証プラントを売却
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5386/ 
 ご存知だとは思いますが、トヨタ自動車は、奥田碩社長(現取締役相談役)の「将来に向けて、水や食糧問題を解決するような事業を検討せよ」との言葉を受けて、1998年、事業開発部付けの組織としてバイオ緑化事業室を発足させ、その後、バイオ緑化事業部に格上げ。同事業部では、ポリ乳酸事業や花卉事業、屋上緑化事業などを手がけてきました。
 ポリ乳酸事業に関しては、遺伝子組み換え酵母を使った乳酸生産系の開発や、島津製作所からポリ乳酸事業を買収して、乳酸からポリ乳酸を製造するための重合技術を手に入れるなど、活発に研究開発を進めてきました。実証プラント売却の狙いや、今後のバイオ緑化事業部の戦略などについては、追って記事にしていきたいと思いますので、ぜひチェックしてください。
 一方で、これまで食品や医薬品中間体などの用途に使われてきた乳酸ですが、ポリ乳酸という新たな用途が出現したことで、業界が激しく動き始めています。これまで乳酸事業を手がけてきた老舗メーカーに加えて、中国などで新たに企業が立ち上がっているほか、業界最大手のオランダPURAC社は、ポリ乳酸向けにラクチドの製造を開始します。
ポリ乳酸市場狙い、ラクチドの製造始めるオランダPURAC社
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5304/ 
ラクチドは、乳酸を重合した環状2量体で、ポリ乳酸を生産する際の中間物質です。乳酸からポリ乳酸を重合するのに比べ、ラクチドからの方が重合が容易になるため、ポリ乳酸の原料として注目されています。ただし、ラクチドは吸湿性が高く、輸送に向かないという弱みがあり、これまで世界での製造量も限られていました。
 そこで、PURAC社は吸湿性の高いラクチドを開発。スペインの工場で、発酵製造するD-乳酸に加えて、L-乳酸、D-乳酸を重合したラクチドを製造するために準備を進めており、数千トンの工場を稼動させる予定です。ラクチドの本格製造が始まれば、化学メーカーのポリ乳酸に対する関心が高まる可能性は高く、世界で唯一米NatureWorks社だけがポリ乳酸を本格製造している、という現状が大きく変化すると考えられます。
 ポリ乳酸は、非石油由来のプラスチックとして愛知万博などで利用され、新聞などを賑わせていましたが、最近はなんとなく静かでした。しかし、トヨタ自動車から実証プラントを買い取った国内化学メーカーにしろ、PURAC社にしろ、水面下では大きく動いています。そして、ほかにない技術を持つ企業が台風の目となって業界を動かす構図が鮮明になってきました。
 ポリ乳酸市場の勝者は誰になるのか? 現在、非石油由来の化学品事業を検討している企業にとっても、こういった業界の動きから学ぶところは多いのではないかと思います。
                               記者 久保田文
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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5288/ 
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