暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか? 早いもので、明日から8月ですね。私は昨日から関西出張に来ています。昨日は、神戸大学で開かれた、「バイオプロダクション次世代農工連携拠点」キックオフセレモニーに参加しました。
 詳細はこちらをご覧ください↓↓
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4890/
 プロジェクトで具体的にどの物質の製造プロセスの確立を目指すか、詳細は決まっていないようですが、先週このメールでお伝えしたNEDOプロと合わせて、研究内容、進捗状況など、今後とも引き続き報道していきたいと思います。
 さて、今週気になったのは、タイ・バンコクから北へ約200kmのところにあるサラブリ県で、セルロース系バイオマスなどからエタノールを商業製造するプラントが稼動を始めたというニュースです。厳密に言うと、プラントは08年1月から稼動していましたが、先日現地でオープニングセレモニーがあり、タイ内外の関係者300人が駆けつけました。

 詳細はこちらをご覧ください↓↓
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4823/

 このプラントは、製糖工場の近くに作られており、サトウキビの搾りかすであるバガスと廃糖蜜からエタノールを生産しています。廃糖蜜はそのまま発酵に回せますが、バガスに関しては希硫酸処理して5炭糖を取り出し、それを発酵させています。発酵に使っているのは、非組み換えの酵母(廃糖蜜用)と米Verenium社(旧BCI International社)の遺伝子組み換え大腸菌KO11株(バガス用)。日本、タイ、インドネシア、マレーシアで、KO11株の独占使用・販売権を持つ月島機械と丸紅が地元の精糖会社であるThai Roong Ruang Group社に技術を提供しました。

 最大の問題は、バガスに含まれる6炭糖が使えないことです。理由は、比較的取り出しやすい5炭糖とは違い、希硫酸処理で6炭糖を取り出そうとすると、より多くの酸を使い、高い圧力をかけて処理しなければならず、処理中にバガスが焦げ付いてしまったり、処理に使う設備を頻繁に交換しなければならなくなるためだそうです。全体のコストを考えると、6炭糖を使わないほうがいい、というわけです。この点は、同様の技術を使って大阪府堺市で廃木材からエタノールを製造しているバイオエタノール・ジャパン・関西と同じです。

 そこで、丸紅などが期待しているのは、酵素糖化によって6炭糖を取り出すこと。実は、Verenium社はBCI International社とDiversa社が合併してできた企業で、もともとDiversa社は土壌などからゲノムを取り出し、有用酵素の遺伝子などを探して商品化する事業を行っていたので、Verenium社は両社の技術・ノウハウを併せての菌と酵素を使ってバイオマスからエタノールを製造する技術を確立しようとしています。

 現在、Verenium社は米エネルギー省の予算で米国にパイロットプラントを建設したところ。酵素の詳細については、あまり情報がないのですが、とりあえず、バガスを使って実証を開始するようです。ちなみに米国というとトウモロコシと思いがちですが、世界的にも糖の生産量は少なくなく、サトウキビ畑もあります。もちろん、Verenium社が最終的に狙っているのはブラジルではないかと思いますが。。というわけで、酵素糖化も着々と実現に向けて歩を進めています。
 
                               記者 久保田文
 
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
◆BTJの関連記事◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           農業・環境関連の記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
バイオマスの大型国プロ、採択予定先が決定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4746/ 
 
タイのエタノール製造プラント、技術供与した丸紅が概要を説明
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4823/ 
 
神戸大の大型プロ、まずは3年で3物質のベンチスケールプラント設置へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4890/ 
 
海外重要発表、丸紅とVerenium社、タイでセルロースエタノール工場が稼動
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4820/ 
 
海外重要発表、Verenium社、
セルロースエタノール生産のデモ用プラント資金をDOEより獲得
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4821/ 
 
海外重要発表、Shell社とIogen社、次世代バイオ燃料の開発に向け、
提携を拡大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4893/ 
 
海外重要発表、Dow Chemical社と米DOE研究所、
バイオマスをエタノールなどに変換するプロセス開発で提携
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4892/ 
 
海外重要発表、POET社、エタノール季刊誌「Vital」を創刊
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4891/ 
 
CO2固定力の高さで注目集める「藻類バイオマス」、
カスケード型の利用でコスト引き下げを
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4720/ 
 
海藻が少ないときは牛乳を混ぜてバイオガスを取り出す、
「原料調達の平準化に有効」と東ガスが実証
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4722/ 
 
「バイオエタノールよりバイオ水素を生産した方が効率良い」と
谷生・横浜国大大学院教授、北方四島の海が“バイオ水素のコンブ畑”に最適
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4745/ 
 
※※記事全文をお読みいただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/nbto/