みなさん、こんにちは。夏ですね。日光はもちろんですが、東京のアスファルトの照り返しは殺人的です。こまめに日焼け止めを塗らないので、日々肌が焼けていきます…。
 さて、昨年来、何度かお伝えしていた経済産業省の新規国家プロジェクト、バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発の採択予定先が決まりました。14テーマが採択されたので詳細は日経バイオテク・オンラインで報道したいと思いますが、今回はいくつか注目すべきテーマについてご紹介したいと思います。
 個人的に注目しているテーマの1つは、バイオインダストリー協会、明治製菓、長岡技術科学大学など18の研究機関や企業、団体が進める「酵素糖化・効率的発酵に資する基盤研究」です。プロジェクトでは、セルラーゼやセルラーゼ生産菌、発酵に利用する酵母や大腸菌などを、各大学から持ち寄り、同一のパラメーターで分析、解析、評価を行うというもの。糖化や発酵に関して評価軸を作って、その情報をプロジェクト内で進められているほかのテーマの研究にも活かそうという試みです。また、バイオマスからプロピレン、イソプロパノールを生産するための研究も採択されました。
 同プロジェクトの予算額は28億円。採択先が多いこともあり、関係者いわく委託のための手続きだけで10月ぐらいまでかかるのでは、とのことですが、できるだけ早く、柔軟にプロジェクトをスタートさせてほしいと思います。
                               記者 久保田文
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
◆オピニオン◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
          祇園祭と洞爺湖サミット
               ――地球環境産業技術研究機構の湯川英明氏
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 7月に入ると、京都の街のあちこちから、お囃子"コンチキチン"が聞こえてきます。私のような俄か京都ビトにも、夏の訪れを感じさせてくれる毎年の風情です。祇園祭の最大の呼び物は17日の山鉾巡行ですね。私も初めて観たときにはその規模と絢爛さに圧倒されました。今年も35度の猛暑の中行われ、18万人の見物客でにぎわったそうです。皆さんも機会があれば、いや機会を作ってぜひ祇園祭、山鉾巡行へ!
 さて、今月の環境分野での最大のイベントは、洞爺湖サミットでした。食料とバイオ燃料の競合の問題より、非食料バイオマス資源からのバイオ燃料生産の推進が取り上げられました。もっとも、『次世代バイオ燃料』と言われると、私は、一寸違和感を感じますね。これまで、お伝えしているように、米国では次世代バイオ燃料とは、もはや、セルロースエタノールではなく、セルロースブタノールを指すからです。もっとも、欧州では、セルロースエタノールを意味しますが。
 しかし、あまりうるさいことは言わずに、非食料バイオマス資源からのセルロースエタノールの実用化促進を期待しましょう 無論RITE―ホンダプロセスによる生産実現に全力で取り組んでいきます。
 なお、洞爺湖サミットでは、ウインザーホテル内にRITE-ホンダプロセスの小型実験装置が設置され、福田首相より、参加首脳に非食料バイオマスからの生産推進に関する説明がなされました。以下、政府webサイトより抜粋。なお、展示装置等は過日の総合科学技術会議での展示内容と略同一です。
日独首脳会談(詳細はこちらをご覧ください)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/germany/visit/0807_sk.html
■山を越えた?基本特許戦争:C6C5混合糖利用
 非食料バイオマスからの生産工程では、該バイオマス由来の混合糖(C6C5糖)からの生産が必須となります。ところが、エタノールの生産に主に用いられている、酵母サッカロミセス、ザイモモナス等はC5利用能を有せず、人為的な機能導入が必要です。
 この分野の技術開発は、大きく2つの波が見られます。最初の波は、C5代謝機能導入に関する技術開発です。これらは、過去約10年間で、さまざまな工夫がなされ多くの重要特許が出願されています。次の波は部分的には未だ「現在進行形」で、C6C5糖の完全同時利用能の開発です。これは、C5糖の利用はC6糖(グルコース)存在下では抑制される現象の解消技術です。大腸菌では完全同時利用の特許が出願されていますが、ほかの微生物種では、特許は見当たりません。しかし、欧米での学会等では、成功したとの報告が少なからずあり、時間の問題でしょう。それも、年単位の話ではなく、月単位と推定されます。
 混合糖の同時利用技術は、セルロースエタノール実用化の根幹となる技術と言えます。米国で、セルロースエタノールの工業化を目指す各企業は、自己開発技術をベースとする少数の企業と、導入を前提とする多くの企業に分かれます。日本においても、丸紅・月島機械のように以前より導入技術での工業化を前提とする企業は別として、他のエタノール実用化を表明している企業の多くは、ベースとする技術内容を明らかとしていません。今後は、上記の特許の網を回避する技術開発に取り組むのか、技術導入で対応かの経営判断が必要となるでしょう。
 ところで、上記の特許出願等の技術開発の中心はDOE,USDA等の支援を受けた米国研究機関、企業ですが、意外な事に、EU諸国の研究機関もかなり頑張っていることが注目されます。バイオリファイナリーの産業化全体としては米国勢の圧倒的な強さが目立ちますが、一部の基礎研究分野ではEUも健闘しているといえます。
 今後は、工業化へ向けての幅広い技術開発戦争はますます激しさを増していくでしょう。われわれ、RITE-ホンダグループとしても、これまでの、基礎研究段階での優位なポジションの維持にとどまらず、更なる前進に向けて全力で取り組んでいかねばと気持ちを引き締めております。
                                (湯川英明)
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