みなさん、こんにちは。日曜日に欧州出張から戻り、再び湿度の高い東京で、もとの生活に戻りました。ただし、ずっと時差ぼけ気味ではありますが。
 さて、日本に戻ってからもバイオマス関連でいくつか話題がありましたが、ここのところ気になっているのは藻類です。藻類に関して国内では、これまで外洋でホンダワラを育てて回収、メタン発酵などの原料に使うといった研究開発がありました。ただ、最近、話題が増えているのは、培養槽で微細藻類を育てて、バイオマスとして利用しようというもので、藻類のバイオマス利用の主流はこちらになりつつあると感じています。ちなみに藻類の脂肪酸からは、バイオディーゼルなどを生産することが可能であるほか、機能性食品などへの展開も考えられます。
 余談ですが、欧州で最も驚いたことの1つは、ディーゼル価格の高騰です。ほとんどガソリン価格と変わらないレベルにまで高騰しており、現地の方も「ディーゼル車を使う意味があまりない」と苦笑いしていました。
 話を藻類に戻します。今週の寄稿にもある通り、米国のトウモロコシ生産地で大規模な洪水が起きているのを見ると、やはり安定的に原料を確保することの重要性を実感するわけですが、藻類は、一般的な作物に比べて工業的に培養することが可能であるほか、ホンダワラなどと異なり、粉砕など前処理の工程にそこまでコストがかからないといったメリットもあります。微細藻類に関しては、帝人が、08年1月にオランダAquaphyto社と共同研究契約を結んでいたことが明らかになりました。帝人、微細藻類から燃料や食品の生産目指し、オランダAquaphyto社と共同研究 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4056/
 また、世界では組み換え藻類を使った大規模なパイロット試験も進行中です。英British Petrolem社はアリゾナ州立大学と共同で遺伝子操作で改良した藍藻からバイオディーゼルを生産する技術を開発中。閉鎖系培養装置で藍藻を生産するパイロット試験を進めるとのことです。もちろん、エネルギー収支、コスト収支の試算はこれからですが、藻類は、石油を置き換える原料候補の1つになりつつあるようです。
                              記者 久保田文
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帝人、微細藻類から燃料や食品の生産目指し、オランダAquaphyto社と共同研究
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4056/
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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4080/
海外重要発表、米DOE、Pacific Northwest研究所、
バイオとコンピューターの研究施設2棟を新設へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4079/
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◆オピニオン◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
         米国の洪水と原料価格の高騰
                 ――地球環境産業技術研究機構・湯川英明
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■米国中西部 大洪水の影響
 今月は、米国の中西部穀倉地帯の異常気象の話から始めましょう。新聞等のニュースでご存知かと思いますが、この地域は今、大規模な洪水に襲われています。その被害はこれまでに無い規模で、さらに拡大傾向とのことです。 この地域は皆様ご承知のごとく、バイオエタノール生産の一大拠点です。Citiグループは、穀物メジャーを含むバイオエタノール関連企業の株価予測を大幅に下げています。影響は株価予測にとどまりません。トウモロコシ、ダイズの収穫量の大幅減は必至。当然、今後の食料価格の高騰にも拍車がかかると予測されています。
 トウモロコシを原料とするバイオエタノールの生産へも大きな影響予測が出されています。Citiグループは専門家の話として、現在稼働中の150を上回る米国内エタノール工場のうち、今後6割以上が操業を停止せざるをえなくなるのではとの驚くべき予測も紹介しています。
■セルロース・エタノール企業のビジネスモデル
 さて、次の話題は、洪水の発生前 もしくは洪水に襲われた地域以外での、セルロース・エタノール関連の話です。これまでも、このメールでご紹介していますが、セルロース・エタノールのコスト推定が多くの関連企業より出されました。大体、ガロン当り、1.5~2ドルですね。ところが、現在のガソリン価格はガロン4ドルを超えていますし、セルロース・エタノールに対する補助金(ガロン1.01ドル)も決定され、相当な利潤が期待されるのでは? となっています。
 ところが、世の中、「そうは問屋が****!!」 直近の状況をご説明しましょう。上記のセルロースエタノールのコスト予測は、あくまでも、原料バイオマスが、米DOE(エネルギー省)が推定していた乾燥重量(1t)当り 約35ドルで入手できるとの前提です。
 で、何が起きているか? 原料バイオマス価格の高騰予測です。当然ですね。だれも、35ドルで栽培してくれません。原料を持っている(栽培・製造できる)企業もしくは、そのようなシステムをビジネスプランとして構築した企業しか、生き残れない という事態も予想されます。ベンチャー系企業の最近の今後の計画を聞いていますと、「**haの耕作権を手に入れた」との発表が目に付くようになっています。原料からの一貫生産を考えざるを得ない状況になっていくのでしょう。
■RITEとホンダの共同研究~近況ご報告~
 最後に、私ども、"RITE-ホンダ"共同研究開発に関連する状況のご報告です。私どもは非食料のバイオマス資源からの燃料エタノールの製造を早期に工業化すべく取り組んできました。最近の"食料と燃料との競合"の問題は、ますます深刻度をましています。私どもは、我々の技術でこのような課題解決、および、地球温暖化対策への寄与を一日も早く実現すべく努力しております。
 この一環として、今般、有力石油企業の出光興産と、トップ商社の三菱商事の協力を得て、『セルロース4者協議会(仮称)』を発足しました。目的は、上記のごとく、早期に実用化を図るべく、活動を行うこととしております。今後、可能な限り早期に、理念実現を図りたいと考えております。皆様のご支援を今後とも頂ければ幸甚であります。                              
                                (湯川秀明)