みなさん、こんにちは。東京はもう入梅してしまいましたが、私は出張で昨日まで北海道におりました。北海道はからっと晴れて気温も高くて気持ちよかったです。
 北海道に行ったのは、産業技術総合研究所が主催するBIO WEEK IN SAPPOROというシンポジウムの取材でした。これについては、後日、日経バイオテク・オンラインに記事を書きますので、ぜひご覧ください。ただ、シンポジウムとは別に神戸大学の福田秀樹教授にお話を伺う機会があり、あの大型委託研究についていろいろお話を伺いました。
 大型委託研究というのは、神戸大学が、2008年5月22日に文部科学省の「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」に採択された、あの件です。プロジェクトでは、学内に設置されている統合バイオリファイナリーセンターを核として、農工連携でバイオプロダクションを使い、燃料を含む化成品や医薬品、バイオプラスチック、機能性食品などのものづくりを進めます。
 プロジェクトには、三井化学や帝人、カネカ、月桂冠など12社の企業も参加。技術開発だけでなく、人材育成や開発・知財戦略といった事業化の周辺も固めるというのがポイントで、3年目までに最低3つ以上の物質に関して、事業化に向けたスケールアップ技術の確立を目指します。
 とりあえずの予算額は、3年で合計9億円。ただ、プロジェクトの進ちょくによっては、10年間で合計79億円が支給されるという超大型研究です。これまで、この手の研究は米エネルギー省(DOE)の大型プロジェクトにばかり光があったっていましたが、ぜひこのプロジェクトからもビジネスを生み出してほしいと思います。
 採択された神戸大学も、「本当に採択されるとは思っていなかった」(福田教授)というほど驚いたとのことですが、私は個人的には神戸大学内の取り組みが、このプロジェクトの採択に結びついたのではと考えています。
 神戸大学は数年前から、1研究室ではカバーしきれない先端的な研究を促進する目的で、学内の複数の研究室を組織していくつもの戦略的研究チームを結成。そのうち国家プロジェクトの研究費を獲得するなど、実績を挙げたチームを卓越プロジェクトに選び、准教授のポストを与えるといった取り組みを進めてきました。先述の統合バイオリファイナリーセンターは、卓越プロジェクトを格上げする形で立ち上げられた組織。今回の採択は、言ってみれば大学内で“もまれた”結果から生まれたわけです。
※統合バイオリファイナリーセンターの記事はBTJジャーナル2008年1月号をお読みください。無料でダウンロードできます。↓↓
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 大学も事業化につながるような成果を求められる昨今、なかなか一研究室の特定の研究でホームランを打つのは難しい現状があります。バイオリファイナリーはまさにその典型で、化学やプラント工学、計測などをいかに組み合わせるかが肝。今後、セルロース系バイオマスを利用するようになれば、技術のパッケージを知財として導出していくビジネスが主流になることでしょう。
 その点では、学内の複数の研究室をまとめて共同研究を進め、チームで競争する環境を作った神戸大学のやり方は賢明でした。12社の企業をどうマネージメントし、成果を上げていくか、今後の研究が注目されます。
                              記者 久保田文
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
◆BTJの関連記事◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           農業・環境関連の記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
海外重要発表、Verenium社、セルロースエタノール生産用デモプラントの試験操業開始へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/3505/
海外重要発表、Monsanto社とSyngenta社、除草剤耐性ダイズやトウモロコシの技術を相互にライセンス
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/3506/
※※一部、2週間前のニュースも含まれています。
※※記事全文をお読みいただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/nbto/