みなさん、こんにちは。先週末、私用で軽井沢に行っておりましたが、紅葉はまだ本格化していないものの、朝と夜の寒さはかなりのものでした。すっかり秋ですね。さて、今週は寄稿がございませんので、「担当者より」と「オピニオン」を合わせて久保田よりお伝えしたいと思います。
 先週から新聞などでちらほら報道されていましたが、大阪府でガソリンにエタノールを3%混合したE3の販売がスタートしました。これまでも宮古島などでE3を実用化するための取り組みは行われてきたものの、06年の国内のエタノール製造量は30kLにとどまっており、どれも極めて限定的な試みでした。大阪府で販売されるE3に使われるエタノールは、大成建設などが共同出資して設立したバイオエタノール・ジャパン・関西が廃木材を原料に遺伝子組み換え大腸菌を使って製造するもので、年間の製造量は1400KL。単純計算すると、E3の量にして4万6600KLが使われることになります。
 
 しかしながら、石油連盟を中心とする元売各社は品質や設備投資の必要性などから、エタノールをガソリンに直接混合する方式よりも、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)原料としてエタノール利用する方式を後押ししており、首都圏数十カ所のガソリンスタンドで4月から販売がスタートしたバイオガソリン(ガソリンにETBEを混合したもの)に使われているエタノールもフランスから輸入して、国内唯一の工場でETBEを製造し、ガソリンに混合したもの。大阪府のプロジェクトでは元売各社からガソリンの供給を得ることができなかった模様です。
 
 というわけで、日本ではエタノールよりETBEが優勢ですが、世界を見渡してみるとこの流れは必ずしもスタンダードではありません。言うまでもなく、世界最大のエタノール製造国である米国では、トウモロコシを原料に製造したエタノールをガソリンに直接混合して利用しています。米国では州によってETBEの発がん可能性などが指摘されており、国全体でもエタノールの直接混合がスタンダードになっています。また、サトウキビを原料にエタノールを製造しているブラジルも同様です。
 
 一方、ディーゼル車が多く、エタノールよりもナタネなどからディーゼルを製造することに積極的だった欧州にも徐々に変化が出ています。食料との競合などの観点からディーゼルの製造量を今後大幅に増やすことが難しいため、国にもよりますが非食用のバイオマスを利用してエタノールを製造する動きが徐々に出てきたのです。セルロースの開発などが進み、ムギワラなどを原料に利用できるようになれば、エタノールの製造量はかなり増えると指摘する声もあります。また、これまで欧州ではエタノールを利用するのにETBE方式が使われてきましたが、最近では直接混合方式をとるところも出てきました。
 
 ETBE方式でも直接混合方式でも、2つの方式が共存するでもかまいませんが、国内でエタノールを利用するにはどうするのがベストなのか。原料となるバイオマスやエタノールの製造量に限界があることを踏まえたうえで、エネルギー、コスト、安全性の面から議論する必要がありそうです。
 
                     日経バイオテク 記者 久保田文
 
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           農業・環境関連の記事
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大阪府、
バイオエタノール・ジャパン・関西の組換えエタノールを混合した
E3の販売を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7485/
 
農林水産省
青いバラなどの第一種使用を了承、年内にも世界初の商品化へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7416/
 
Monsanto社とPerten Instruments社、
バイオエタノール生産の分析手法の開発で提携
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7487/
 
DuPont社、
Citigroup Ethanol Conferenceでバイオ燃料への戦略を説明
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7479/
 
BASF Plant Science社と韓国Crop Functional Genomics Center、
共同研究開発契約を締結
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7478/
 
ジョージア工科大学、
鳥インフルエンザウイルスを検出するバイオセンサーを開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7477/
 
DuPont社、
持続可能な包装も、重要な成長ビジネス分野
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7417/
 
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