米国のバイオマス関連予算が拡大しています。2007年8月27日、米エネルギー省(DOE)は08年から、バイオマス関連の新たな大型プロジェクトを立ち上げることを発表しました。プロジェクトは、DOEが約40億円を上限に、セルロース系バイオマスの糖化酵素の商業化を支援するというもので、支援期間は2011年までの3年間です。
 8月末、国内では来年度の予算編成に向けて各省が概算要求を行います。バイオマス関連施策を手がけている省庁は、経済産業省、農林水産省、環境省とありますが、今号では経済産業省のバイオマス関連施策の概算要求について詳しく解説したいと思います。詳しくは今号のオピニオンをお読みください。
 若手研究者向けにBTJが発行するBTJジャーナル8月号では、食料と競合しないバイオマスを使って物質生産を行うための研究を進める方々をとり上げました。BTJジャーナルは、バイオ研究者のキャリア/スキルアップのための月刊のPDFマガジンで、無料でダウンロードできますので、ぜひお読みください。
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 また、BTJ/GreenInnovationメールでは、日々研究機関や企業が進めるバイオマス関連の(特にバイオテクノロジーを利用した)研究開発について取材活動を行っております。メールをお読みの方々の中で、そういった取材にご協力いただける方がいらっしゃいましたら久保田までご一報ください。取材に伺わせていただきます。
                     日経バイオテク 記者 久保田文
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米エネルギー省の新事業、
セルラーゼなど糖化酵素の商品化に40億円を支援へ
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米Cornell大学がアルミニウムイオン耐性遺伝子を単離、
酸性土壌で栽培できる組み換えソルガム開発へ
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◆オピニオン◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        経済産業省のバイオマス関連施策の概算要求
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 経済産業省がまとめた08年度の概算要求のうち、バイオマス関連施策として最も注目されるのは、経産省が29億円を要求した「バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発」だ。バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発は、経産省が82億円を要求した「新エネルギー技術研究開発」の一部で、07年度から行われていた同様の事業を大幅に増額する形で、概算要求に盛り込まれた。新エネルギー技術研究開発では、太陽光や風力発電技術の開発や、新エネルギー関連ベンチャーを支援する計画で、そのうちの29億円をバイオマスエネルギー等高効率転換技術開発につぎ込む考えだ。
 バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発では、セルロース系バイオマスを原料に化成品や燃料などを製造する“バイオマスコンビナート”立ち上げに必要な技術開発を後押しする。経産省が想定している化成品や燃料とは、プロピレンやエチレン、エタノール、ブタノール、プロパノールなど。プロジェクトは独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募・採択などを行う。
 原料となるセルロース系バイオマスの内容については、経産省が5月末にまとめた「次世代自動車・燃料イニシアティブ」で設置が決まった「バイオ燃料技術革新協議会」の下に作られた「バイオマス原料ワーキンググループ」などで検討される見込み。経産省はワーキンググループで、一定量を確保できる、前処理・糖化技術を開発できるといった観点から、国内で利用すべきセルロース系バイオマスをいくつかの種類に絞込み、それら原料に適した転換技術の開発を、バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発で後押ししたい考えだ。
 ただし、国内で利用できるセルロース系バイオマスの量は限られており、関係企業からは国産バイオマスよりもむしろ、東南アジアのセルロース系バイオマスを原料に想定すべきという声も少なくない。最終的にプロジェクトでは、国内や東南アジアに豊富に存在するセルロース系バイオマスを原料にすることを前提に研究開発を進めることになりそうだ。
 原料となるセルロース系バイオマスをいくつかに絞り込むといっても、バイオマスコンビナートで化成品を製造するとなれば、前処理、糖化、発酵、転換(化成品への)などいくつもの技術が必要だ。公募の条件など詳細なスキームは決まっていないものの、成果を事業として成り立たせることを前提に考えれば、「優れた前処理技術」、「優れた発酵技術」というようなピンポイントで技術を開発するよりも、原料となるバイオマスから化成品の製造まで一貫して、世界市場で競争力のある技術を組み合わせて開発する必要があるだろう。
 「何を原料に、どのような技術で、何を作るか」――。利用すべきはセルロース系バイオマス、という意見には誰もが賛同するものの、どうすれば世界で勝てるコンビナートができるのかについては、見方がさまざま。バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発は、国内(企業)のバイオマスを使った研究開発の方向を決めるという意味で重要なプロジェクトになりそうだ。(日経バイオテク 久保田文)