現在、東海道新幹線で西に向かっております。台風の影響で各河川の水位が上がっており、このままでは新幹線の運休も起こりえると心配しています。大井川も濁流で茶色に染まっており、もうすぐ河川敷にあるグランドも浸水しそうな勢いです。今回の台風はまだまだ警戒を緩める訳にはいかない状況です。
 本日、なでしこジャパンの豪州戦を控えながら、大阪に向かっているのには訳があります。シャープがバイオテクノロジーに遅ればせながら参入を発表する記者会見があるためです。同社副社長の独占会見も確保しました。是非とも7日頃のBiotechnology Japan をご覧願います。
 さて週末に山形県鶴岡市で開催していたバイオファイナンスギルドの実習も、幸いにして台風12号が西にそれたために、当地の天候は実は晴れ。心配した飛行機便も予定通り運航したため、恙なく終了いたしました。メタボロームの実習では、山形県が誇るつや姫の官能試験とメタボローム分析を比較するという試みを行いました。グルタミン酸やアスパラギン酸など、呈味アミノ酸の含有量は対照としたはえぬきや陸稲とは一桁違い、メタボローム分析ではまったく間違える余地はないのですが、官能試験では2人がはえぬきの方が美味しいと判定しておりました。まあ、好き嫌いですからしょうがないのですが、科学と感性の谷間を感じました。
 バイオテクノロジーでは我が国は一輪車状態にあります。米国や欧州の各国とも、医薬開発と農業の二つの車輪でバランス良くバイオ産業を拡大しています。皆さんは気がついていないと思いますが、あれだけ組み換え農産物に反対運動を展開していた欧州各国も、米国の組み換え農作物の基本特許群が特許切れを迎えるにつれ、商業栽培までにも乗り出しています。充分な根回しと議論を展開し、組み換え農産物の危険性は従来の農作物を超えるものではないと結論し、消費者の選択の自由を確保する表示制度の導入によって、組み換え農産物商業栽培を解禁いたしました。
 これによって、欧米各国は医療と農業という21世紀に入って技術革新が集中している2大分野でバイオ技術の技術突破の連鎖を引き起こす体制を整えることに成功しました。我が国は医療ですら、許認可の遅れや、医療費の抑制など、医療における技術突破の連鎖にブレーキがかかる状態であることに加え、農業を徹底的に甘やかしたために、国際競争力が花卉や一部の果実を除いて失われています。加えて主食であるコメの育種や生産、流通を国家が独占していた結果、稲の種子開発を行う企業すらほとんど絶滅寸前となっています。このままでは、稲育種の世界的に競争可能な基盤を農水省が抱えたまま、アジアの人口成長によって生じる膨大な稲種子やコメの市場に対して、商業的な貢献ができないというまったく馬鹿げた状態となっております。
 21世紀には医療と食糧とエネルギーで国際競争が起こります。食糧の鍵を握るバイオテクノロジーと遺伝資源で、我が国は世界に貢献できる潜在力があります。TPPもそうですが、農業の企業化を解禁し、農水省や民間企業に塩漬けとなっている先端農業技術とバイオ、そして遺伝資源を戦略的に活用することが火急の急務となっています。
 そのためには風評被害など、世界からはるか遅れてしまった市民に喝を入れて、組み換え食品を米国では18年も食べており、何の問題も生じていないことと、組み換え農産物の世界最大の輸入国は我が国であり、もう皆さんは17年以上食べていることを直視していただく必要があると私は思っています。
 2011年12月1日、組み換えパパイア(ウイルス耐性)が我が国でも正式に認可され、果物屋さんの店頭に並ぶことが決まりました。ハワイの生産者組合は自主的に一個一個にラベルを付け、消費者の選択の自由を確保しました。といってもハワイで日本人観光客はこの組み換えパパイア「レインボー」を喜んで食べておりますが。とにかく皆さん、味も美味しいので、ご親戚、友人にレインボーをお勧め願いたい。こうした商品が受け入れられることが、賢い消費者を育て、福島の原発でも大騒動になる原因信しています。
 今週も、お元気で。