YouTubeで見出された僅か14歳の少年の国歌斉唱で幕を開けた全米オープンテニス選手権で、我が国の選手たちはあっという間に姿を消しました。確か二回戦まで勝ち上がったのはたった一人ではないでしょうか?好調だったウィンブルドンとは対照を成しました。錦織選手も含め3人もの途中棄権。本日負けた伊達選手も含めて、故障者続出です。レストランで焼けた皿に触って火傷しているナダル選手よりはるかに深刻です。オリンピックのアジア予選を戦うなでしこジャパンも含め、厳しい試合日程をこなすにはコンディショニングが重要です。グランドスラム4大会の最後の大会は、まして足腰に過酷なハードコートです。我が国のテニス協会もなんとかしないと、この低迷を打破することは難しいかも知れません。今週は男子のサッカーのWC予選もあり、皆さんも忙しい夜となりそうですね。
 さて個の医療です。
 先週の週末、札幌医大で開催された臨床化学会でも個の医療が大きな話題となりました。今までは生化学検査が中心の学会でしたが、これからはPGxや抗がん剤の個別化などを可能とするコンパニオン診断薬の研究へ大きく重心が移りつつあります。コンパニオン診断薬について、同学会の前理事長の三重大学の登教授が提言していたことを下記のブログに書きましたので、どうぞご一読願います。現在、遺伝子検査は薬事法承認されたものと、そうではない自家製の診断薬の2つが存在し、保険収載が双方に認められる混乱が我が国にあります。この分裂症的症状は米国でも実は2系列ある遺伝子検査の承認ラインが感染したものですが、そろそろ米国の制度の良いとこ取りをして、日本独自の国と公(民間自主検定)を組み合わせたスマートなコンパニオン診断薬の認可システムを検討する時期であると考えております。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/
 もっとも許認可が同時でも、新薬薬価収載と診断薬保険収載のタイミングが同時でなければ意味がありません。しかし、今の日本のばらばらの認可体系を考えるとこれは至難の業。コンパニオン診断薬に関しては、この問題を突破しなくては、新薬の添付文書に書いてある診断薬による対象患者の鑑別が、実際、診断薬の保険収載が遅れているために、投薬出来ないとい馬鹿気たことが十分起こりうるのです。そして、厚労省の担当部局がそれぞれこうした事態に責任を感じないという可能性も歴史的には十分可能性があるのです。コンパニオン診断薬と新薬の同時認可に加えて、薬価収載と保険収載の同時化は患者さんにとって命の問題ともなることをもっと認識しなくてはなりません。
 8月26日、米国で発売が認可された革新的な肺がん治療薬「Xalkori」(クリゾチニブ)の国際臨床試験の成績では日本と韓国の治癒率が抜群に高い結果でした。すわ人種差かと個の医療編集者としては色めき立ちましたが、調べてみると日本と韓国と他の地域では患者を鑑別する診断法が異なり、日本と韓国の方がより的確にクリゾチニブの適用患者を選択できた結果でした。新薬の効果と安全性も勿論重要ですが、効果がある新薬が開発されればされるほど、コンパニオン診断薬の精度が患者さんの運命と医療経済を決定する重要な要素として浮かび上がってきたという訳です。
 台風は遥か南方の海上で急速に西に首を振っています。今週末に鶴岡で遺伝子診断の実習を行いますが、本当にたどり着けるのでしょうか?
 
 天候に気をつけて、今週もお元気で。