暑さが戻ってきましたね。今朝は烏の喧嘩で起こされるし、今週は何かろくなことが起こらない嫌な予感がいたしますね。
 先週の日曜日のなでしこリーグに観客が押し寄せたようです。16年振りの観客数の記録更新は何よりも慶賀すべきです。3試合ありましたが、合計で2万5000人弱の集客は、いずれも有料のゲームであったことを考えると上出来でしょう。私が贔屓している宮間選手の所属する湯郷ベルと伊賀FCとの試合は、岡山県美作市の美作サッカー・ラグビー場で開かれましたが、観客3432人を山深いグランドに集めました。6月の同じ場所で開かれたホームゲームが794人の入場者だったので、実に4.3倍です。澤選手の所属するINAC神戸とジェフユナイテッド市原Lの試合は過去最高の1万7812人でした。5月の同じ神戸でのホームゲームが1403人ですから、12.7倍も観客を動員したことになります。ワールドカップ効果です。この勢いをどこまで定着できるか、そしてプロ選手として皆を協議に集中できる環境を整備できるか?これからが、なでしこの試練です。私も何とかして見に行きたい。
 さて、バイオでも数字が冷厳に成功・不成功を決める世界があります。バイオベンチャーの資金調達額と上場後の株価がその典型です。今月も、7月15日に東京AIM証券取引所にメビオファーム、そしてラクオリア創薬が7月20日に、大阪証券取引所JASDAQグロースへ、それぞれ上場しました。国債が破綻しそうな米国や欧州でさえ、新興企業への投資は再び蘇えっており、主に米国ではバイオインデックスは上昇を続け、バイオベンチャーの上場も増加しています。バイオベンチャーへの投資のウインドウは開いているのです。日本でも資金不足で塗炭のの苦しみを味わっているバイオベンチャーの中にも、着実に研究開発と提携を進め、上場する企業が出て来たというストーリーを描きたいところですが、なかなか上手くいかないのが現状です。前者はベンチャーキャピタルの、そして後者は値決めを行った証券会社の至らなさが主な原因です。
 両社の株価は25日午後1時半現在、メビオファームが262円、ラクオリア創薬が1194円であり、それぞれ上場時の売り出し価格が、1200円と1600円でしたから、市場は両社に対して厳しい評価を加えたというべきでしょう。しかし、株価下落の原因が両社では異なります。
 メビオファームは既存の株主の売却に制限を加える条項(ロックアップ)の規定がなく、現在の株価は同社に投資していたベンチャーキャピタルが投資ファンドの終了年限(10年から12年)を考えて、現金化に走っているのが原因です。バイオベンチャーに対する投資ファンドは創設後10年を経過しているものが多く、精算を迫られています。また、年限の迫ったファンドを運営しているVCは少しでも資金を回収することだけを考えているのです。そうでなければ、4年前に3000円で投資した同社の株式を1200円で売り出すことを認め、282円で売り出すことは考えられませんね。ある海外投資家は、ここまで行くと買いの潮時といった判断をしています。こうした市場の機能がバイオベンチャーの再生には不可欠です。現在のところ、情けないことに買いは海外、主にアジアの投資家から入っているだけ。日本の投資家はみんな同じ行動ばかりで、かえってリスクが増大することを知りません、リスク投資の要諦は、未来を見越した逆張りにあると思いますが、皆さんはいかがでしょうか?こうした振り子の機能をかいた市場では、誰もリスクを取れず、ゆで蛙となり、全滅してしまいます。特に、東京AIMは投資家が自己リスクで売買する機関投資家向けのプロの市場です。金融監督庁や財務省の「投資家保護」という幻想から離れたリスクを取る市場を育てねば、我が国の産業の活性化は期待できません。市場創設から2年間も新規上場がなく、メビオファームが先陣を切ったのも、J-NOMADという引き受け企業がシンガポールのフィリップ証券であった賜物です。日本の証券企業も本来の金融機能を取り戻すためにも、是非とも東京AIMに企業をどんどん上場させるべきであると思います。メビオファームにとっては、次回の増資で、どれだけの資金調達が可能か、大いなる挑戦となります。同社の現在の株式評価額は8億円。東京AIMが真似たロンドン証券取引所のAIMも初値は平均7億円から8億円程度の評価額であり、この意味では国際基準です。ただし、ロンドンではベンチャー企業の急成長を背景に、企業価値はロケットのように増大、増資ではその数倍の資金調達が可能なことが魅力です。東京AIMでもこうした成長を是非とも実現し、投資家の信頼を得ていただきたいと願っております。
 一方、ラクオリアは半年間のロックアップ条件がついており、株価の下落は、投資の回収もあるでしょうが、純粋に企業実績と公募価格のバランスに対する厳しい評価であったのではないでしょうか。ファイザーの在日研究所のスピンアウトベンチャーであり、ベンチャーよりは本格的な中堅製薬企業的パイプラインとそのライセンス状況の見通しに、投資家が保守的な見通しを持った。あるいは余り夢を感じなかったためかも知れません。同社が上場したNASDAQグロースは新興企業向けの市場ですが、投資家保護の幻想に絡めとられており、どちらかというと成長性だけでなく、収益の実績が上場に必要であるという矛盾を秘めています。この矛盾がなければ、ラクオリアも成長性を前面に上場可能だったのかも知れませんが、バイオテクノロジーに最も遅れて(我が国の製薬企業よりは早かったですが)参入したファイザーのパイプラインの底力は、バイオのように派手さはなく、素人がなかなか評価できるものではありません。投資家保護という幻想(本当の投資家保護なら損金の所得税の繰越相殺を認めるべきです)の結果、上場したバイオべんちゃーへの投資家は移り気なデイトレーダーが主役という現在の我が国の新興市場(東京AIMを除く)の矛盾した状況は、結局はバイオベンチャーの力強い成長に不可欠な我慢強いリスクマネーの供給を阻んでいることを、認識しなくてはならないと思います。
 暑さが戻りました。皆さん、今週もご自愛願います。