現在、はやてに乗り、仙台に向かっております。東北大学を取材後、夕方には奥羽山脈を越え、鶴岡市でバイオファイナンスギルド実習の打ち合わせを行います。明日はまた奥羽山脈を越えて、仙台に戻り、内分泌サマーセミナーに参加します。しかし、東北新幹線は復興景気の先ぶれか、早朝の電車なのに混んでいます。本当にがっかりするような震災担当大臣の辞任がありましたが、民の力は東北の復興と創造のために結集しつつあります。内分泌サマーセミナーも敢えて、仙台開催に拘っており、このメールでも参加を皆さんに呼びかけました。今回の取材も東日本復興の少しでも支援になればと願っております。
 どうも眠気が去らないのは、今朝午前3時までなでしこジャパンの試合を見ていたためです。イングランドに2:0で完敗しました。カナダの主審が3つもコーナキックをゴールキックにするなど、大英帝国のえこひいきもありましたが、何よりも敗因は日本チームのコンデショニングの失敗です。動きも悪く、スタミナも無く、トラップミスやボールを簡単に奪われるなど、不甲斐無い戦いでした。これで世界の強豪、ドイツを破らなければ悲願のワールドカップのメダル(3位以内)には届きません。選手の疲労をとにかく取らなくては勝ち目はないでしょう。
 さて個の医療です。免疫力や炎症など私たちの身体のコンディショニングの鍵の一つを握っているのは、白血球です。自然免疫や獲得免疫、そしてアレルギー反応などを司っています。皆さんも発熱などをした場合、血液像検査をしたことがあると思いますが、白血球の種類や数は重要な病態を示す指標です。白血球は大きく5つに分類できます、まず好中球は感染した細菌を排除する機能があるます。リンパ球はウイルスを血中から排除し、抗体の生産するBリンパ球と感染した細胞やがんを攻撃するTリンパ球があります。また、単球は感染した細菌を攻撃・排除また、体内の老廃物や変性たんぱく質の除去もになっています。アレルギー反応や寄生虫の排除を行う好酸球、そして好塩基球はアレルギー反応に関係しています。
 この白血球の種類と数には、実は個体差があります。そのため、標準的な値との差がその患者さんの感染や炎症を示すとは限らないという限界がありました。理研ゲノム医科学研究センター統計解析研究チームの高橋篤チームリーダーらは東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギー・リウマチ学教室らと共同で、白血球の個体差の関連している遺伝子を同定、今月発表しました。この遺伝子プロファイル毎に、個人の平均白血球プロファイル(種類と数の分布)を割り出せば、白血球プロファイルの正常値を個別化できる可能性があります。遺伝子に応じて、正常値を選択し、現在の白血球プロファイルと比較することで、炎症が起こっているのか?細菌感染があるのか?はたまたアレルギーを持っているのか?より正確に判断できるようになると思います。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/110701/detail.html
 理研などのグループは、日本人1万4792人ものゲノムと白血球の検査値を対照、220万か所のゲノム上のSNPs解析するという高密度分析を行いました。白血球の種類と数に連鎖する11個の遺伝子(内、9個は新規遺伝子)を同定しました。欧米の1万5000人のデータを解析して調べたところ、11個の遺伝子の内、3個の遺伝子が白血球のプロファイルと連鎖していることが分かったのです。
 今回の研究成果で特筆すべきものは、アレルギーに関与する好酸球と好塩基球の両方の数を支配する遺伝子4つを発見したことです。これらの遺伝子型の違いで、好酸球数と好塩基球数が比がそれぞれ1.2倍~1.3倍も高くなるのです。この遺伝子を手掛かりに、いわゆるアレルギー体質やアトピー体質を解明することができるかも知れません。
 遺伝子の変異(SNPsなど)と体質との関連がどんどん明らかになっています。個の医療だけでなく、個の健康を実現する科学的基盤としても、今回の成果は重要な発見であると思います。
 今週もどうぞ、お元気で。