ヨーロッパのサッカークラブの頂点を決める欧州チャンピョンズリーグ決勝は、日曜日の早朝、バルセロナが圧倒的な強さをマンチャスターユナイテッドに示し、3:1で快勝しました。おかげで日曜日は寝不足で棒に振った読者も多いのではないでしょうか?圧倒的なパス力と全員の攻撃への意思統一によって、天才ルー二―に1点は献上したものの、マンチェスターユナイテッドにボールを殆ど与えず、勝利を盤石なものとしました。決勝点となったメッシのドリブルからのミドルシュートは、敵の0.5秒程度の守備の隙を突いたものでした。まったく凄いチームをプライマリーの選手教育から創りあげたものです。当面は彼らの天下が続くはずです。
 東京は雨がやっと上がりました。先週末に石巻を取材しておりました。東北は雨が続いており、地盤が沈下した結果、川の水位がや高かったのが気になります。この雨では川の氾濫も懸念されます。土のうなどの対策も見られなかったけれど大丈夫でしょうか?梅雨や台風シーズには石巻以外にも地盤が沈下した地区の2次災害が心配です。
 仙台市若林地区や空港周辺の取材もいたしましたが、津波は猛威を示していました。集落が丸ごと破壊されていました。ここに町があったことすら信じられませんが、津波の角度のためなのか、あまり被害を受けなかった木造住宅がぽつんと残っていたり、不思議な光景が広がっていました。塩分に弱い笹や竹が薄茶色に立ち枯れています。ここまで津波が押し寄せたことを証言していました。空港に曲がる交差点でふと左を見ると窪地に車が6台もはまっていたり、その近くには軽飛行機が2台折り重なっていました。がれきの整理は大分進んでいて、がれきを集積した山が各地で見られました。車の回収は進んでいますが、重い船は後廻しらしく、田んぼの後に船がぽつんと取り残されていました。各地で感じたことは2つです。がれき整理や道路整備などまず力強い復興が始まっていること、第二はそれにも係らず仮設住宅や被災者や住民に対する医療システムの供給などの整備は遅れていること、つまり被災者の生活の改善にはもっと努力をしなくてはならないという事です。我が国の行政や産業はインフラ整備には長けていますが、人々の生活というソフトの整備はどうも不得意です。ここを改善しなくては、被災地の皆さんの苦労は去りません。
 生活の改善には各地の多様性を知ることが必要です。例えば、同じ津波の被害でも、陸前高田や大船渡など大きな川がない地域では、津波の破壊力はもの凄かったのですが、河川が運んできた有機物によって汚染されるという被害は、北上川という巨大な河川を抱える石巻よりは少なかった。有機物が地上にまき散らされた結果、石巻では乾燥した有機物による粉塵、更には大量の嫌気性細菌やカビなどの胞子などによる呼吸器に対する障害が懸念されています。これだけの大量の嫌気性細菌を含む汚泥に、多数の人々が曝された経験を私たちは記録しておりません。石巻には多数の被災者がその都市機能や職の確保のために残留しています。幸いにして、津波の被害の無い地域では石巻でも通常の生活が戻っております。いかにして、都市に残留した被災者の健康を確保し、生活を改善させるか、これからが国を挙げて支援しなくてはなりません。緊急対応が終結し、被災地支援の第二段階に入った今こそ、早急に動き出さなくてはなりません。東北大学は総力を挙げて被災地域の緊急医療支援を行いました。下記のリンクでその内容はアクセスできます。第二段階ではどういった医療復旧と被災地の健康対策が必要なのか、早急に判断して、医療資源の配分を行わなくてはなりません。一時の熱狂が終わったこれからが本当の勝負だと思います。地道に粘り強く行わなくてはなりません。
http://www.hosp.tohoku.ac.jp/release/
 福島の原発問題のため、現地の医療関係者は現状を訴えることを遠慮しています。しかし、そこにある医療危機への対応で救われる被災者の命に軽重は当然のことながらありません。どちらも救済すべく知恵を絞る必要があります。被災者以外の我が国の医療にはまだ余力があると、私は信頼しております。
 そのためにも被災地の多様性に応じた医療支援、そして生活支援が必要です。紋切型のインフラ整備ではなく、多様性を認めた行政システムが必要となります。これが現状では出来ないのが何とも歯がゆいところです。宮城県知事のインタビューが先週の新聞にのっておりましたが、がれき処理の費用の補助金を申請するため、県のがれき処理上に集積したがれきを各市町村毎に由来を仕分けする作業を国は要求しています。これなどは典型的な官僚主義であり、復興の敵であります。復興特区を国は設定すべく動いておりますが、この各省庁縦割りの行政システムを破壊することこそ、復興特区の肝であり、この経験が20年間もデフレを続けている我が国のシステムを刷新する知恵を与えてくれると期待しています。
 被災地から東京まではわずか5時間のドライブです。これから私たちが行わなければならないのは、まず決して被災地のことを忘れないことです。その上で、縦割り行政の動脈硬化で変化への対応能力を失った日本という国の再建が次の課題となります。ここがうまく行けば、日本は再び復活すると私は信じております。
 最後にお願いです。日経バイオテク副編集長の河野が下記のセミナーを企画しました。メッセージを下記に掲載いたしました。皆さんどうぞご参加願います。
「分子標的薬の創製と開発の最前線」をテーマにしたセミナーを今年も6月17日に開催することにしました。場所は東京・品川のコクヨホールです。現在、分子標的薬の主流はキナーゼ阻害剤ですが、今年のセミナーではmiRNAやたんぱく質間相互作用といった次世代の標的も取り上げています。セミナーの詳細と参加申し込みは以下のサイトをご覧ください。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/110617/
 今週もどうぞお元気で。