昨日、鳥取大学医学部のとっとりバイオフロンティアの開設式に出席、現在、渋谷の薬学会館に向かっております・これからゲノム創薬フォーラムの取材です。テノックス研究所の野口先生ご逝去の後を受けて、東京大学新井名誉教授とアステラス製薬竹中会長が同フォーラムの共同代表となった新体制の第一回の談話会です。生体薬や我が国のバイオの元祖の遺志をきちっと受けつがなくてはなりません。
 米子鬼太郎空港は中国電力島根原子力発電所からどうやら30km圏内になるとタクシーの運転手さんに教えていただきました。現在、懸命の復旧が行われている東京電力福島原発を考えると、原発事故だけは絶対、どんな状況でも防がなくてなりません。30km圏内には島根県の県庁所在地、松江市も含まれます。中国電力は補助電源などの増設を進めているようですが、日本全国の原発でも今まで政府が想定しなくて良いとした、全電源停止に対する予防手段を構築しなくては、安心することができません。
 さて、個の医療です。
 Wall Street Jounal(WSJ)4月26日号は、本日、米食品医薬品局(FDA)の抗ウイルス薬諮問委員会が開催され、C型肝炎の画期的新薬、HCVプロテアーゼ阻害剤の認可に対する討議が行われると伝えています。結果は5月2日月曜日に公表される見込みです。米国の法律上ではFDAは諮問委員会の勧告を無視しても良いのですが、事実上、諮問委員会が認可を勧告した場合は、販売認可が近いことは間違いありません。早ければ夏にも、画期的なC型肝炎治療薬が発売されます。現在、標準治療となっているペグインターフェロンαとリバビリンに加え、3剤併用療法が実施される見込みです。HIVでもプロテアーゼ阻害剤が登場、耐性を防ぐために3剤の併用療法によって、AIDS患者さんの延命率が延長しました。死の病から慢性病へと転換するほどのインパクトでした。C型肝炎の3剤併用療法がC型肝炎ウイルスの感染から肝硬変、肝臓がんへと悪性化するC型肝炎ウイルスの感染症を押しとどめることができるか?フェーズ4とその後の息の長い経過観察で証明されることを祈っております。
 今回、諮問委員会で討議されるのはMerck社が開発したboceprevirと米VertexPharmaceuticals社が開発したtelaprevirです。WSJは中でも、boceprevirを取り上げ、3剤併用すると貧血の頻度が上がり、重症化する副作用をFDAは重視していると報道しています。また、1%以下の頻度ですが自殺傾向など精神症状の副作用も報告されています。
 また、これは完全に個の医療に関係しますが、boceprevirはアフリカ系アメリカ人と重症化したHCV感染症患者には効果が低いことが臨床試験で明らかになっています。今回の諮問委員会でも、「アフリカ系アメリカ人に限って、boceprevirの投与機関を延長すべきかどうか」投票に掛けられる予定です。
 何回も申し上げていますが、革新的な医薬品であればあるほど、個の医療化は避けえないのです。来週の月曜日に、FDAの諮問委員会がどんな結果を出すか、どうぞご注目願います。
 医師限定で恐縮ですが、コンセンサスエンジン消化器がんで「コドン13変異を有する切除不能・再発大腸癌に抗EGFR抗体を臨床導入すべきか」 、コンセンサスエンジン乳がんで「閉経後のホルモン療法」と「Ki67 indexを用いた治療法選択」の最新コンセンサスをそれぞれ公開しました。どうぞ下記よりアクセス願います。
●コンセンサスエンジン消化器がん
https://bioce.nikkeibp.co.jp/consensusengine/
●コンセンサスエンジン乳がん
https://bioce.nikkeibp.co.jp/breastcancer/
 今週もどうぞ、お元気で。