東京な梅の香りもやや衰えて参りました。確実に春はやってきますね。椋鳥の群れが、万両の実をついばんで喧しい。おまけに糞だらけ。春の景色です。
 現在、沖縄の沖縄県産業振興公社、おきなわ新産業創出投資事業の成果発表会の会場におります。沖縄にバイオ産業を根付かせ、発展させるためのプロジェクトです。内閣府が力を入れており、さながら資金難にあえぐベンチャー企業のセイフティハーバーともなっております。心強いことに、この中から続々はオーバーですが、続くらいですが、ビジネスモデルが立ち上がったベンチャー企業が誕生しつつあります。
 我慢強いリスクマネーは絶対、我が国の新産業創造と産業交代のためには必要であると、確信させてくれたプロジェクトです。長期にわたる支援によって、技術開発も進み、ビジネスモデルの実証も進み、彼らが企図したイノベーションの価値を価格で換算できるまで成長させました。また、何よりも喜ばしいことは投資したベンチャー経営者達が著しく成長し、本当のアントレプレナーに成長する兆しが出てきたことです。生まれながらのアントレプレナーなど絶対おりません。アントレプレナーを創造するOJTの場を提供し続けることが、イノベーションを我が国で成就させ、国を発展させる鍵です。
 今年度もこの事業は公募を開始しています。沖縄産業振興公社のホームページので確認、是非ともご応募願います。
 さて個の医療です。
 現在、我が国の大手製薬企業、バイオ再参入の特集記事を掲載しております。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/NEWS/sp_show.jsp?spid=93
 その最後の取材となる第一三共の中山社長のインタビューを今朝完了いたしました。個の医療は必然であるとする中山社長の今年の重点施策は抗血小板薬のプレスグレルの立て直しです。その鍵を握っているのが個の医療でした。
 先行するクロピドグレルが、肝臓でチトクロームp450(CYP)の2C19の遺伝型によって代謝速度が変わるため、抗血栓作用を必ずしも発揮しない患者がいます。こうした患者こそがプレスグレルが市場に浸透するための入り口となるのです。最終的に症例が蓄積し、安全性や信頼性が増せば、プレスグレルが遺伝子検査無しに投薬されるようになることを期待しています。先行する医薬品が遺伝的多様性によって薬効や副作用が異なるが、個の医療が普及していない場合、個の医療を逆に使って、市場を開発する戦略です。
 診断サービス企業の米Accumetrics社と2010年7月12日に提携、CYP2C19の多型を調べる遺伝子検査を米国で先行してプロモーションを開始いたしました。
http://www.accumetrics.com/accumetrics.com/invmedia/release-details.aspx?id=33
 案外、新薬を売るために、旧来から市場で販売されている医薬品が個の医療を無視している場合、逆個の医療によって新薬の置き換えを行う戦略も、今後活用される可能性があります。
 どうぞ今週もお元気で。