本日はバレンタインデーとのこと、心に漣の収まらぬ男子もおるとは思います。少しウェブで調べただけですが、ローマ時代に兵士達の戦意を挫くと、結婚を禁止していた皇帝に逆らって、密かに若者に結婚をさせていたキリスト教徒のバレンタインの企てが発覚、処刑された日が2月14日でした。日本のバレンタインデーは女性から思いを伝える風習として独自に発達してしまいました。ユーラシア大陸の両端ではこんなにも、変形してしまうのです。 加えて、チョコレートを売らんがための商業主義も変形に拍車を掛けます。今や女性ロッカーが手作りチョコレートのCMをがんがん流しています。ウェブ上の語源由来辞典やウィキペディアでは、神戸モロゾフ製菓(1936年)、伊勢丹(1958年)、メリーチョコレート(1958年)、森永製菓(1960年)、伊勢丹(1965年)、ソニープラザ(1968年)と、我が国のバレンタインデーの起源に関して諸説紛々です。もっと時間があればもっと多数の起源説を知ることはできるでしょうが、勿論、そんな暇はありません。しかし、草食系男子が蔓延る現在では、このキャンペーンは稀に見る成功となったことは間違いありません。もう一歩、我が国独自の進化が進み、近々我々より食物連鎖の上位に上るのではないかとさえ杞憂しております。
 さてバイオです。
 最先端・次世代研究開発支援プログラムの採択者、329人がやっと決まりました。昨年9月に科学技術政策担当内閣府政務官に就任した和田隆志・衆議院議員が、選考過程に介入し、応募者5000人超に国民が分かるように書類を改めて提出させたために、2月10日まで遅延したと言われています(実際には総合科学技術会議は選考有力候補である450人に、国民に分かるように説明した書類を提出させました。しかもこの書類は選考には無関係といわれています。いずれにせよ無駄な書類を要求し、予算の執行を遅らせただけの無駄な行為でした)。2010年度は残り50日しかなく、ここまで予算執行を引き伸ばす意味があるのか?これによって若手研究者の活動が遅滞したことに、政府は責任をどう取るのか?展望が見えません。もし遅滞の原因が政治家にあることが事実なら、日ごろの勉強不足を大いに反省し、金銭と時間ともに効率の良い政府を心がけるように精進していただきたい。
 この問題の背景には、国会議員にどんな資格と覚悟と能力が必要か、曖昧なまま選出され、強大な権力を握ってしまっている現実があります。国会議員の条件を明確にするには、我が国が国としてなすべき仕事を仕分けしなくてはなりません。第一はナショナルセキュリティ(国防、災害対策、医療システム、年金など)、第二は外交であることは異論がないと思います。加えて、第三の産業振興と雇用創出による国民の生活の改善を国家と地方自治体がどのように分担するかは議論を進めなくてはなりません。第四は教育、そして私は第五の国家の主要な責務として科学・技術の振興を打ち出すべきだと考えています。教育や産業振興の基盤となる科学・技術こそ国家の重要責務であります。「何で一番じゃなくては駄目なんですか?」と恥らい無く聞ける議員の存在こそ国家の恥であると思いますがいかがでしょうか?科学技術関係者はもっと議員を教育しなくてはなりません。正しいロビー活動をぜひもっと展開してください。
 2000年から我が国は科学技術予算を増加させましたが、昨年度、前年割れとなりました。問題は我が国を除く、世界各国が21世紀の大競争時代に備えて、着々と科学技術予算を増額、しかも知財確保と産業振興に結びつけるシステムの開発まで熱心に行っていることです。中国も昨年か、一昨年に我が国の科学技術研究費を追い抜いたはずです。
 科学技術予算の増額が息切れし、科学技術行政が大混乱している我が国は誠に危うい状況にあると思います。文科省が科学技術振興のための科学の予算を確保したことは重要です。もう一つ重要なのは、科学研究によって、政策を決定する際のガイドラインの策定です。我が国にはこれが決定的に欠けているため、科学性を失った議論がまかり通る状況があります。前農林水産大臣のアンチ組み換え食品・農産物の信念のために、農水省のGMOの情報サイトがしばらく閉鎖されていたことなどは、その最たる表れです。科学が唯一、いろいろな思想信条を持つ国民を合理的に説得する政治的な手段にもなるということを認識するなら、その伝家の宝刀を安易に使ってはなりません。科学を政策に利用する場合の倫理規定など、我が国でも早急に整備しないと、とんでもないことが起こりかねないと心配しています。JSTがまとめたレポートは参考になります。特に英国政府の考え方には学ぶべきものが多いと思います。政権を取れば何でもやれるという、30年前のムバラク大統領のような考え違いを、現在の民主党や健全な政権交代によって政権を取る次の党の国会議員にも起こさせないような仕組みを創らなくてはなりません。これは行政ではなく、議員立法として自律的な法律を作っていただきたいと、心から願っております。
http://crds.jst.go.jp/output/pdf/10rr02.pdf
 今週もどうぞお元気で。