本日、締め切ります。ヒトiPS細胞とヒトES細胞の臨床応用を議論する今年最後のBTJプロフェッショナルセミナーもおかげさまで多数のご参加をいただきました。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/101221/
 FIFAクラブワールドカップ2010は、欧州のクラブ王者、イタリアのインテルが速攻で試合を決め、新興アフリカ勢の気勢を殺ぎ優勝しました。まったく老練です。過去の大会では、常に欧州クラブ王者と南米のクラブ王者が決勝戦を行っていたため、アフリカのクラブ王者、マゼンベが脅威の身体能力を生かしたサッカーで、南米のインテルナショナルを準決勝で破った時には、新しいアフリカの時代がサッカーにも来ると期待が高まり
ました。
 しかし、サッカーは陸上競技と異なり、身体能力だけでは勝てません。試合開始早々の虚を突き、たった開始3分で得点、後はイタリア自慢の守備でがっちりゴールを封鎖、攻めるしかないマゼンベの攻撃をかわして、カウンターで得点を取る、イタリアの戦術で3:0と快勝いたしました。つくずく、サッカーは面白く、嫌味なスポーツであると痛感しました。
 さて、年末の地方大会で優勝した錦織選手は年末で世界ランク98位まで上げ、年明け早々の豪州選手権では予選なしで本選に進める切符を手に入れました。来年こそ、彼のキャリアにとって飛躍の年となることを祈っております。
 来年といえば、12月25日に総合科学会議基本政策専門調査会がとうとう来年から始まる第4期の科学技術基本計画を答申いたしました。これからこの答申に基づき、具体的な基本計画が策定され、3月に閣議決定される見通しです。その時、誰が首相であるかはわかりませんが、少なくとも2011年度から5年間、我が国の科学技術政策の基本方針となることは間違いありません。是非とも熟読していただきたいと思います。
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/seisaku/haihu12/siryo2-1.pdf
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/seisaku/haihu12/siryo2-2.pdf
 財務省の反対を押しのけて、科学技術予算投入5年間総額25兆円とGDP当り科学技術投資4%、うち政府1%(現在は0.7%)を明記したことを評価する声も高いのですが、第二期も第三期の科学技術計画でも科学技術予算投入の公約は未達に終わったことを忘れてはなりません。いろんなことをお書きになることは自由ですが、第4期こそここに盛り込まれた政策をどこまで実行するかが、問われると思います。第2期、第3期の科学技術予算の投入未達でも、誰も責任を問われないまま、新しい計画を策定しても、まさに絵に描いた餅。昔はそれでも国民や研究者は喜んだものですが、ここまで約束未達が続くと、性格が悪くなり、疑い深くなるのは自然の流れです。少なくとも毎年、今年はいくら実現しましたときちっと公表する必要はあるのではないでしょうか?仕分け作業との連携も不可欠です。今年は政府の科学技術政策の分裂症のために、科学は相当貶められたと感じております。来年こそ科学復権の年としなくてはなりません。
 第4期科学技術基本計画で評価すべきは、イノベーションを初めて前面に打ち出したことです。しかも、これなくては持続的な我が国の成長はないと明記しているのも、ありがたい。金融やサービスだけで我が国が成長できるほど、世界は甘くない。人類に対する価値を創造してこそ、我が国の成長が確保できます。人口減少に転じた現在、我が国が消費市場として貢献する限界は見えています。新しい価値で世界に貢献する知的資本主義しか、我が国が持続的に成長する道はないと思います。もちろん、こう打ち出すことにも副作用はあります。国家のトップダウン的な政策科学プロジェクトが専横する可能性があるためです。あくまでも好奇心による基礎研究はイノベーションのシーズを生む母として大切にしなくてはなりません。両者の研究費配分のバランスこそ、国家目標に本当は明記すべきものではないか、と望んでおります。
 もうひとつ、評価したいのは米国もの真似ですが、今まで沈み行く大企業にだけ国家の研究開発予算が注入されていた旧弊をやっと改める制度が明記されたことです。大きいことがよかったのは製造業資本主義まで、知識資本主義は小さな創造的な集団こそ競争力の源泉です。具体的には「国は、先端的な科学技術の成果を事業化につなげるための仕組みとして、『中小企業技術革新制度』(SBIR(Small Business Innovation Research))における多段階選抜方式の導入を推進する。このため、各府省の研究開発予算のうち一定割合又は一定額について、多段階選抜方式の導入目標を設定することを検討する」という第4期科学技術基本計画の文言は重要です。ただし、機械的に中小企業の定義を、資本金にだけ依存すると、研究開発投資を資本金で先食いしているバイオベンチャー企業は、ほとんどが大手企業に分類されてしまうという矛盾があります。どうぞ、現場を見て、実行の細則を決定していただきたい。
 
 我が国の研究者や企業家が、明るい新年を迎えられるよう、祈っております。
 では、今週もどうぞお元気で。