現在、東京も豪雨です。日本海側から関東まで台風の通り道では、今晩は早帰りがよさそうです。もう心が帰宅に傾いております。
 昨夜のサッカー日本代表戦は見逃しましたが、森本選手がフォワードらしい仕事をしたようです。やはり海外での経験が森本を強くしています。最近の若者が海外留学したがらない傾向は憂うべきもので、無理やりにでも大学生に留学をさせなくてはなりません。若いときの経験は何ものにも変えがたい。
 テニスのUSオープンがIBMの支援で、現在の試合のストリーミング(日本ではアクセス不能)とライブスコアを行っています。15分前にちょうど、クライシュテルスがストーザに競り勝ったところです。こうした擬似的な情報が、海外に出なくてもよいという気分を若者にもたらしているのかも知れませんが。インターネットやメディアが伝えられるものは、人間の情報・情動能力のごく僅かに過ぎません。人生を変えるような刺激を伝えることはできません。
 さて、本当にもうぎりぎりですが、9月14日のBTJプロフェッショナルセミナーをお申し込みになりましたか?今回のセミナーはヒトES細胞/ヒトiPS細胞のin vitro useの最先端と、そこから得られた薬効や安全性データをどうやって規制当局が取り上げていくのか?それには何が必要か?を、皆さんと議論したいと考えています。今ならなんとか間に合います。どうぞ下記のサイトからお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100914/
 わが国の製薬企業も海外進出によって大きく売り上げを増大させています。もはや人口が減少し始めた国内市場に頼っていては健全で持続的な成長は期待できないのです。
 2009年2月25日に欧州で、7月10日に米国で相次いで承認を獲得した抗血小板薬「Effient/Efient」(プラスグレル)は、第一三共の期待の新薬です。世界市場で心筋梗塞などの治療薬として8000億円以上のブロックバスターに成長したフランスsanofi aventis社の「PLAVIX」(クロピドグレル)を急追する目論見です。
 実はクロピドグレルにも欠点がありました。クロピドグレルはプロドラッグで、肝臓のチトクロームP450 2C19(CYP2C19)で代謝されて初めて血小板凝集効果を示します。つまり、CYP2C19に遺伝的な多型を持ち、酵素活性が低下している患者さんでは、効きが悪いのです。その結果、心筋梗塞再発、脳梗塞など心血管系のイベント発生率が高くなることが判明しました。また、CYP2C19の活性を阻害する薬剤(オメプラソール、エソメプラゾール、シメチジン、フルコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、エトラビリン、フェルバメート、フルオキセチン、フルボキサミン、チクロビジン)との併用も、同様なリスクを生じるため、禁忌と2009年秋に添付文書に記載されました。
 プラスグレルはその点、CYP2C19に代謝されず、直接血小板に作用するため、遺伝的多型や併用薬に左右されることがないという絶対の利点がありました。つまり個の医療を気にせずに、多くの患者さんに使用できる医薬品だったのです。したがって、誰しもが、クロピドグレルを上回る市場を獲得できると、期待したのです。ただし、世の中はそんなに甘くはありませんでした。
 プラスグレルにも重症出血という副作用があることが判明、米食品医薬品局の審査は長引きました。加えて、英AstraZeneca社が開発中の強力な抗血小板薬「Brilinta」(チカグレル)が、2010年7月28日に米国食品医薬品局の心血管・腎臓薬諮問委員会が認可勧告を獲得、近く発売されることが決まったためです。さらに8月29日には、スウェーデンStockholmで開催中の欧州心臓学会で発表されたPLATO臨床試験(43カ国、1万8624人の急性冠症候群患者対象)の結果、チカグレルもCYP2C19の遺伝的多型の有無によらず、心血管系のイベントの頻度に差はない、つまり安全性に差がないことが証明されました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2770/
 ライバルも個の医療を超えた新薬だったのです。第一三共は世評に反して、プラスグレルの全世界売り上げ予想(2013年3月)を、わずか500億円と極めて渋く見積もっています。競争条件や副作用を考えると、これが現実的な数字かも知れません。
 皆さん、どうぞお元気で。BioJapan2010、どうぞよろしく願います。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/