もうすぐ40歳を迎える伊達公子選手。昨夜、USオープンテニスの一回戦に出場しました。誰もが驚嘆するほど身体を絞って登場、ビリージーンキング選手に続く、高齢記録を更新中の選手とは思えない若さと俊敏さと獰猛さです。
 何故、日本人の選手は若いのか?USオープン緒戦の最大の話題となったのではないでしょうか?独特のライジングで敵の強打を切り返すスタイルで、最初のゲームを、USオープンで優勝したことのある世界ランク13位のクズネツフォアから奪い好調さを見せ付けました。しかし、試合巧者のクズネツフォアは第2ゲームをブレイクバック、ゲームの流れを引き寄せました。第2セットは奪ったものの、試合が長引けば、25歳でぶんぶんのクズネツフォアが有利。結局、第3セットを失い一回戦敗退が決まりました。
 ただ、カンバックしたばかりの痛々しい戦いではありませんでした。いつの間にか、世界ランク51位まで上げてきた伊達選手の復活は本物です。グランドスラムでは無理でしょうが、次のレベルの大会では組
み合わせ次第では優勝も夢見ることができる。凄みをましてきました。2セットで1ゲームしかとれずもろくも敗退した後輩たちも奮起しなくてはなりません。
http://www.sonyericssonwtatour.com/page/RankingsSingles/0,,12781~0~1~100,00.html
 さてバイオです。伊達選手の課題である持久力の無さは、私たちバイオ報道の課題でもあります。粘り強く継続報道しなくては真実は担保できません。
 今年、7月7日に米Genentech社が期待のがん新薬、T-DM1の加速認可を求めフェーズ?臨床試験結果を受けて、米食品医薬品局(FDA)に生物製剤として販売申請(BLA)を提出したと報道しました。期待の新薬、そして今までの化学抗がん剤の枠を超える技術革新になると持ち上げました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2357/
 しかし、何とFDAは2010年8月25日に加速認可を拒絶することを通知、Genentech社は現在、進行中のフェーズ?臨床試験(EMILLIAなど)を継続、通常の生物製剤として、販売申請を行うことになりました。この結果、T-DM1の発売は2012年以降にずれ込むことが確実となりました。事前相談も受けながらこの結果です。
 T-DM1はフェーズ?臨床試験で、投与されたHER2陽性患者の33%で腫瘍が縮小しました。驚異的な成績で、現在、HER2陽性乳がんの標準治療となっている抗体医薬「ハーセプチン」の治療成績を大幅に上回りました。おまけに、抗体医薬と併用する化学抗がん剤のような副作用も少なく、患者のQOLは大きく改善しました。
http://www.gene.com/gene/news/press-releases/display.do?method=detail&id=12947
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=97573&p=irol-newsArticle&ID=1464217&highlight=
 だがFDAも甘くはありません。「対象とした患者集団(HER2陽性にかかわらず)で、必ずしも現在までに実用化されている乳がんの治療薬を使い尽くした訳ではない」と、加速審査の対象となるアンメットニーズ(治療法が無い)の患者集団を対象にした試験ではないと結論付けたのです。有効性への疑義ではないので、Genentech社は、早期承認の夢を捨て、粛々と臨床開発の常道に戻ることを宣言しました。今回の加速審査拒絶の背景には、加速審査で商品化を許したGenentech社の抗VEGF抗体「アバスチン」が乳がんの第一選択薬(パクリタキセルとの併用)としての適応を、2010年7月20日に、FDA抗腫瘍薬諮問委員会が12対1で取り下げを決定した影響もあるかも知れません。発売後のフェーズ?試験で、既存薬を上回る効能を示せなかったという理由でした。正式に適応除外になるかどうかは、今月の17日にFDAが判断します。
 FDAが弱気になったのです。また、Obama大統領の保健医療改革法案成立以降、急速に臨床試験フェーズ?で非劣勢ではなく、優勢の成績を新薬認可に要求するなど、新薬の許認可に逆風が吹いていることも影響があると思います。
http://www.fda.gov/forconsumers/byaudience/forpatientadvocates/speedingaccesstoimportantnewtherapies/ucm128291.htm#accelerated
http://www.gene.com/gene/news/press-releases/display.do?method=detail&id=12887
 T-DM1は、乳がんの特効薬となった抗体医薬「ハーセプチン」に、米ImmunoGen社が開発した抗がん剤(微小管形成阻害剤)を化学的に結合した免疫複合体です。HER2が結合した抗体を細胞内に効率よく取り組む性質を持っていた幸運も重なり、現在のデータではハーセプチンが救えなかった15%から20%のHER2陽性乳がんの患者を救える可能性があります。発売時期は2年近く遅れますが、期待の新薬であることは間違いありません。私は、抗がん化学療法にもT-DM1は重大なコンセプト変更を迫る力を持つと考えております。いずれにせよ、これからも顛末を粘り強く報道いたします。
 ところで、昨日、まことに頓馬な号外をお届けしてしまいました。
 あれだけ心を込めて、皆さんに9月14日のBTJプロフェッショナルセミナーが、もうすぐ満席になるので、お早めに登録願いたいと掻き口説いたのに、肝心のセミナーの詳細と申し込みサイトのリンクを忘れてしまいました。
 画竜点睛を欠くとはこのことです。まだ何とか間に合いますので、どうぞ下記のサイトからお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100914/
 皆さんはいかが、お考えでしょうか?
 最後に、コンセンサスエンジンにアクセスなさいましたか?
 8月22日は弁護士も議論に参加、大腸がんの治療ガイドラインについて激論を
たたかわせました。今回の議論は時間延長したほどです。
 公開は9月中旬。閲覧は医師限定ですが、どうぞ下記よりご登録願います。
https://bioce.nikkeibp.co.jp/consensusengine/
 しかし、東京は35度。これで本当に秋なのか?しかも、日差しも濃厚です。
本当に地球は軸を傾けて公転しているのか?疑問に思っております。
 皆さん、どうぞお元気で。
  Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満